2013-05-25
不思議な言葉 NO 3294
最近の言葉遣いに不思議なことが多い。コンビニで支払いをしようと1万円札を出すと「1万円からでよろしかったでしょうか?」と確認されて固まってしまっ たし、喫茶店でモーニングを注文したら「こちらがモーニングになります」と言われ、今から何か変化が起きるの?と突っ込みたくなった。
言葉とは相手側に勝手な思い込みを生じさせる危険性もあるので要注意。前に書いたことがあるが、旅行会社に勤める友人の折り紙付きで宿泊した旅館で、夕食に案内された食事処で面白い体験をした。
床一面が水槽になって多くの魚が泳いでいる。オードブルを運んで来てくれた仲居さんが「記念にどうぞ」と言われたので料金に含まれているのだと勝手に解 釈、そこですぐ下を泳いでいた「石鯛」の薄造りと煮物を注文したのだが、それは「記念に如何ですか?」の間違い。チェックアウトの際にきっちりと支払明細 の中に特別注文として記載されていた。
過日の講演で「言は動を変える」という実例について話した。横着な言葉は横柄な態度になってしまうし、丁寧な言葉は美しい仕種を感じさせることになるので言葉を大切にと伝えたものだが、もう一つ言葉の問題について触れておいた。
それは、「否定語」と「肯定語」の大きな違いで、サービス業ならこの勉強を大切にしなければということだった。
例えばだが、ホテルのティーラウンジの閉店間近の時間にコーヒーを飲みたいと思って入ったら、時間の事情からか「コーヒーはご用意出来ません」と言われる のと、「紅茶ならご用意出来ますが」と言われるのとは大違い。前者が「否定語」」であり後者が「肯定語」となる訳だが、我々の仕事でも開式直前に果物盛り のご注文が入るケースもあり、「ご供花ならご用意出来ますが」との肯定語で対応して欲しいと願っている。
マニュアルしか出来ない窓口ス タッフも時には面白いハプニングに進展することもあるようだ。逸話として語り継がれている出来事にマクドナルドのことがある。窓口で注文をすると「お召し 上がりですか?それともお持ち帰りですか?」と確認されるのだが、ある人物が自宅にいる家族のためにお土産にしようと立ち寄り、6人分ぐらいの量を注文し たら「お召し上がりですか?お持ち帰りですか?」と言われ、そんなに一人で食べられる筈がないでしょうと返した出来事である。
マンネリ の中で予想もしなかったミスをしてしまうのがマニュアルの恐ろしさだが、「幸せ列車」のコラムで「かめかむか」さんが書かれていた東京ディズニーランドの スタッフには、それぞれの感性と個性も認められており、園内に航空機が墜落した際の想定までマニュアル化されているという噂もあるが、あの東日本大震災が 発生した時のスタッフ達の行動は、賛辞に値すると評価されていることも事実である。