2013-01-08

昔のこと  NO 3153


 過日、何気なくスイッチを入れたテレビの画面が古い時代劇で、虚無僧の姿が目に留まった。幼い頃、虚無僧が尺八を吹いて家の前に立ち、親が幾らかを包んで手渡すのを見て、それが何故なのか全く理解出来なかったが、あの独特の姿が異様に感じていたのは確かだった。

  そんな子供心を見透かしたように、母親から「悪いことをしたら虚無僧に連れて行って貰うから」と言われていたのだから恐怖心は半端じゃなかったが、その後 に観ることになった時代劇の映画の中で、主人公が虚無僧に変装する物語があり、悪者ではないことを知るようになって恐怖感が薄らいだ。

 最近は、そんな姿を目にすることはなくなったが、遠い昔の記憶の中に焼き付いている装束となっている。

 30年ほど前に担当させていただいた葬儀だが、尺八の世界で高名な方のご逝去で、お弟子さん達が80人ぐらいで献奏された音色が今でも心に残っている。

 そんな時代に創作されたナレーションがあるが、BGMは尺八だったし、言葉遣いは「今日と咲き出で、今日と散り行く人の多き中」なんて文語調だったのも懐かしく思い出される。

  昨号で「聖域」の言葉が出て来たが、司会者達の指導で重視したのは会場空間を式場空間として「神変」させること。「大切な方の、大切な儀式に、大切な宗教 者を迎える環境の完成」を教えた訳だが、弊社の葬儀が他社に比べて静かだと言われるのはそんな空間作りを大切にしているからで、スタッフにも「結界」に関 する意識が確実に意識されていると確信している。

 葬儀が終わってご出棺がある。お骨がお帰りになって還骨の儀式が行われる。利便的に多 くなった当日の初七日法要もある。その全てが終わったらその日のお通夜の準備が行われる。そこに「次の方、ご案内」というような発想は厳禁である。お客様 であるご遺族には特別な想いがあることを何より大切に理解し、マンネリの仕事だけはして欲しくない。

 さて、メール会員になっているレス トラン「サンマルク」からのメールが入っていた。創業からの年度記念だそうで、期間限定だがユニークな企画が考えられていた。訪れたグループに二つのサイ コロを振らせて「1と1」が出たらその全員が無料となるとのこと。籤運の悪い私だが、<ひょっとして>なんて思いを抱いている。

 こんな企画は平等性や幸運と言う観点からすれば理解出来るが、温泉旅館で「1泊2食付き100円から」というネットのCMだけは抵抗を感じる。何事にも適正価格というものがある筈で、価格破壊から価格崩壊に進み、消費者を欺く仕掛けは謳うべきではない。

 我が業界にも「家族葬」を前面に押し出すややこしい業者が増えたが、二重の悲しみをご体験されないように願ってしまう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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