2003-12-07
宇宙は広いのに NO 628
霊園業者に「売れ行きは?」と尋ねると、「ボチボチです」と応えたという小話があるが、今日は、お墓の話からスタートしよう。
墓地に行って敷地の広い立派なお墓を見ると、そこに「五輪塔」と呼ばれる供養塔が建立されていることが多い。
この五輪塔には梵字が刻まれてあり、様々な発音もあるが一般的に「キャカラバーンと読むようで、漢字に転換すると「空・風・火・水・地」となり、『生なるもの、すべて大地に宿り、大地に還る』という五大の思想とも呼ばれている。
「空」を除いた「四大」は、それぞれの文字に「葬」を付ければ所謂「四大葬法」になってくる。
高僧が遷化された場合、新聞の黒枠広告の冒頭に、「四大不調のみぎり」という表記を見ることがあるが、これも上述に関係している。
地大、水大、火大、風大である四大は、それぞれが万物の根源となる元素であり、これに「空大」を加えて五大となる。
「空」を解釈するならば「心」や「意識」となるだろう。
さて、難しいことはこれぐらいにして、日本の戦争映画で見た水葬の場面、海軍旗に包まれた柩が海へ。甲板にいる乗組員が正装して敬礼をしている。
アメリカの映画でも埋葬シーンが多いが、アーリントン墓地で星条旗に包まれた柩の埋葬シーンを数多く見た。埋葬前に儀仗兵によって畳まれる国旗、それが遺族に手渡される。戦争の犠牲者や殉職者に対する最高の礼節を表現するしきたりのようだ。
昨日、イラクの犠牲者を送る外務省合同葬が行われたが、柩を完全に覆えるような日章旗がないと新聞が報じていて驚いた。
避けられないようなイラクへの自衛隊派遣。安全のため最大の危機管理も想定されているだろうが、最悪の結果というシナリオも覚悟しなければならないだろう。
こんな大切で重要なことを映画的に表記して叱責を受けるだろうが、上述の光景を思い浮かべれば、ブッシュ大統領は似合うかも知れないが、小泉総理は似合わない。
犠牲者に対する国家の補償は様々あろうが、遺族の悲嘆に対するケアを重視しなければならず、精神心理学の医師やカウンセラーのフォローまで考えていただきたい。
戦争とは、人間の愚かさを表す最大で最悪の行為。世界中に多くの宗教の存在があるが、祈りで戦争終結は不可能だ。
天を見上げれば宇宙がある。解明された銀河系でさえ145億光年の果てだと言う。そんな天文学を考え、数キロ先の敵に銃弾を放つことがどれほど馬鹿げたことか理解して欲しい。
何度も書いたが、独裁者と教祖は共通している。権力を握ったらその行使に走ってしまう。古来から「存在・認識・行為」の三つで構成されている「主体」という文字の意味。指導者とは、いつも「客体」にあることを願いたい。