2004-08-29

キャスティング   NO 897


 昨日、偲ぶ会のことを書いたが、司会を担当させる本人の緊張感と恐怖感を和らげるには、なるべく早くシナリオを手渡すことが重要で、一言一句まで記載したシナリオを創作した。

 本番日の会社のスケジュールは、その日にならなければ分からない。本人が体調を崩していることも考慮し、別の女性スタッフにも練習を命じておいた。

 このシナリオには、ちょっとした仕掛けがある。参列者がお帰りになる前の時間に「侘び寂び」が。強烈なインパクトをお土産にする構成で描いておいた。

 「これ、読んだだけで感動します」と2人の感想。そこには「早く本番の日を迎えたい」という表情さえ垣間見えた。

 シナリオに初めて目を通す、そこで<やってみたい>と心情が生まれることが成功への近道で自信につながるもの。<うまく行くかな?>という恐怖感の払拭には、そんな全体的なプロデュースが大切だ。

 プロデュースとは、お客様のことだけではなく、シナリオを演じる全員のキャスティングまでを考えるのが仕事。これで取り敢えず第一難関をクリアする結果が見え安堵する。

 さて、人生の黄昏をひしひしと感じ始めたこの頃だが、早く隠居の立場になって<またピアノにでも挑戦するか?>と思っていたら、そんな悠長なことを言っておられなくなってきた。

 「社長、2年間だけ現役でお願いします。その間、徹底して教育に取り組んでください。それが重要な生きられた証しではないでしょうか?」

 それは、強烈な言葉だった。訴える社員の目が熱く潤んでいる。そこで「分かった」と返したことが災難の始まりに。

 私は、彼らの描いたシナリオに見事に乗せられてしまった。「お願いします」は、ほんのプロローグ。そこから私に課せられたキャスティングが大変なものだった。

 「葬祭文化向上のために多くの講演やセミナーを開催し、私たち葬祭業がプロの仕事であることを社会で認識いただきたいのです」「多くの電話を頂戴している業界の皆さんを対象に『塾』を開講してください」

 そんなことを言われ、「そうだな?いつかそんなことも考えたいな?」と返答したら叱られた。

そして同時に「これご覧ください」と出されたプリントを目に言葉を失った。いつの間にか業界紙向けの告知広告の準備がされている。

それは、<この連中、本気だ>と思った瞬間だった。

 12月のセミナーのことは私が許可を出したこと。独り言に書いたところから、すでに受講申し込みを頂戴した方々がおられるが、ここまで真剣に取り組んでいるとは知らず、彼らの描いたシナリオに<プロデュースで成長してきている>と妙にびっくり。

 来年は、1月から大変な苦労を強いられそう。酷使に耐えられる体力づくりが課題かも?
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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