2003-07-15

代役なき個性     NO 486

「朝の声というのは違うのですか?」  夕方、そんな質問が女性スタッフからあった。

 声というものは、朝と夜で若干異なるもの。それは、食前と食後でも影響があり、特に腹筋を活用して喋ると顕著に表れる。

 彼女の表情に笑みが浮かんでいる。何か魂胆が秘められているようで、「何だ?」と問い質してみた。

 「いえ、ちょっと」

 やはり狙いがあった。溜まっているビデオへの音声録音、「明日の朝がいいですか? それとも夕方が?」

 私には彼女が何をして欲しいのかすぐに理解出来た。明日は、彼女が公休の日。そこで今から録音をという戦術だった。

 しばらくして隠れ家に入ると、録音と映像システムの準備が完了し、机の上に私専用のマイクが置かれてあった。

 私の席の正面に時計がある。今日は予定があり、20分以内に吹き込まなければならない。そこで、「今日は、2本だけ」と提案して納得を貰った。

 少しお疲れモード。1回だけNGを出してしまった。息を続けなければならないところで、階下から社員の大きな声が聞こえたからである。

 「今、録音中です。静かにね」

 再準備を済ませ、降りて行った彼女の言葉が聞こえる。それで静かになった。

 収録したビデオをチェックし、ちょうど20分で隠れ家を出た。

 さて、九州、東京への出張が重なってきた。北海道にも予定があるが、仕事の合間に日帰り日程とも考えなければならない状況。しかし、九州と北海道だけはせめて1泊だけはしたいもの。

 これまで、東京からの最終の「のぞみ」に何度乗ったことだろうか。おそらく50回は超えているだろう。また、博多や小倉からの最終の「のぞみ」にも何度か乗ったが、その内で3回、新大阪まで私の車両には私だけという珍しい体験もあった。

 雪や豪雨の遅れで大変な目に遭遇したこともあるが、いつも次の日の仕事に差し障るので、どんな方法を用いても帰阪しなければならない宿命を背負っている。

 司会者やプロデューサーの代行が可能でも、久世栄三郎の代行が存在しないのが悩み。

 「それは、あるものの悩み」「それは、贅沢な悩みだ」 そんなことを言われ出したこの頃である。
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