2012-01-27

びっくりしました  NO 2822


  昨秋だったが、冠婚葬祭のパンフレットが自宅の郵便受けに入っていたので驚いたことがあった。昔は「ご家族の将来におめでたはございませんか?」というよ うな感じで訪問セールスをしていたが、今回は完全に葬儀そのものだけ。こんなものをポスティングするとは非常識も甚だしいと思ったが、どうもその背景に厳 しい現実があるようで、家族葬の潮流から新規入会者が激減し、解約が増えている現況を如実に物語っているようだ。

 昨年の12月中旬、京都地裁で画期的な判決が下されたニュースがあった。被告となったのは大手冠婚葬祭互助会で、控訴したかどうかは不明だが、争点になったのは解約に伴う手数料の問題。あまりにも高額だと一部の消費者が原告として裁判に持ち込んだ訴訟だった。

 上述に重なるが、家族葬の増加に反比例するように解約が増え、この判決結果によって一気に加速するかもしれないが、互助会が「株式会社」であって営利目的の企業であることを知られた方々も多かったようだ。

 10年ほど前の出来事だが、ある日、来客を告げるインターホンが鳴った。「どちらさまでしょうか?」と問うと「冠婚葬祭互助会」ですと女性のセールス。

「結婚式はホテルでしますから」と返すと「お葬式もお得ですよ」と返してくる。
「私は葬儀社ですから必要ありません」
「ご冗談を」と、そんなやりとり。

<何が冗談だ>だと思いながら腹が立ち、「新聞や週刊誌で互助会が経営危機と報じられているのを読んだけど大丈夫なの?」と嫌味なことを。

「確かにそういう記事はありましたが、あれは誤報でして、当社は健全な経営なのでご安心を」

 私は、ちょうど葬儀に出掛けるために礼服に着替えていた最中だったが、時間の関係からすぐに出なければならなず、ちょっと顔を合わすのには抵抗があり、何とか打ち切りにしたいので終止符につながる発言をした。

「御社のパンフを見たことがあるけど、旧社名の上に新社名が張り付けられていたし、それだけでも危機感を訴えているような気がしたよ」
「詳しくご説明をいたしますから、是非お時間を」

<これは、やばい>と思ったが、時計を見ると飛び出さないといけない時間。
扉を開けて外に出る。黒い礼服姿を見たオバサン。「お葬式ですか? 本当に葬儀屋さん?」とびっくりされた表情だった。

今日の葬儀が終わった後、社員の一人が高熱で早退したと聞いたが、流行中のインフルエンザではないかと心配しながら軽くなるように手を合わせている。

 さて、今日は自宅のポストに驚く物が投函されていた。それは同業他社のチラシ的な宣伝物。こんな物をポスティングするとは信じられなかったが、このレベルを信用してしまわれるお客様が果たして存在するのかと疑問を抱く内容であった。

  葬祭業は、ポスティングを行うべきではないと考えている。ご家族が入院されているお家も考えられるし、偶々大切な人が救急車で入院したケースを想定すれ ば、こんな気分の悪いことはないだろう。そこに生じる怒りの度合いの激しさは想像を絶するものであろうし、悲しみを誰よりも理解しようと努力しなければな らない葬祭業にあって、葬儀社がこんな異常な行動をするとは信じられない思いを抱くので書いておこう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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