2005-10-28

新聞記事から  NO 1315


 社員や塾生達に「加害者になるな、被害者になるな、安全運転で事故を起こすな」と訴え続けているが、今の社会情勢では、いつ被害者になるか分からない危険性があり過ぎる。

 相変わらず飲酒運転の事故が報じられているし、今日もエアガン発砲や積荷落下原因による死亡事故というニュース、また高校生や保育園児の列に車が突っ込んだ事故が続いている中、校庭に飛行機が不時着したというのもあった。

 保育園児の事故では「猫が飛び出してきたので避けた」という運転手の発言があったようだが、これが事実とすると、誰もが加害者になる可能性があることに気付くだろう。

 そんな中、毎日新聞夕刊の社会面トップ記事の見出しが目に留まった。『命の重さ目に焼きつけて』『奈良地裁 公判で告別式ビデオ』『18歳事故死 母の悲しみ証拠採用』とあった。

 悲しみの葬儀で収録されたビデオが加害者を裁く場で流された画期的なことだが、法の専門家達が「刑事裁判では、遺族の心情をくんだ異例の措置」と感想していたようだが、私は「異例」の文字が「慰霊」につながるような思いがしてならなかった。

 過去にも何度も書いたが、免許更新の際に葬儀の光景を見せ、悲しみの現実を知ることによって間違いなく安全運転に効果があると確信している。

 事故には不可抗力ということも起き得るだろうが、ハンドルを握る姿勢を謙虚にするだけで必ず事故は減る筈。誰も被害者や加害者になりたくないではないか。

我々葬儀に従事する者は、自身が安全運転に努めるだけではなく、体験を通じて「命の教育」に役立つ行動も大切なこと。今後は「安全運転」というジャンルで講演を担当することも重要では?と思い始めたこの頃だ。

  さて、同じ毎日新聞夕刊の一面に衝撃的な記事があった。大地震で想定される犠牲者の火葬に関する大問題(詳しくは、弊社が加盟する日本トータライフ協会が 発信するコラム「有為転変」をご笑覧くださいませ)だが、意外な盲点があることを実感したし、阪神淡路大震災で体験した辛い葬儀のことを思い出してしまっ た。

 一方で、朝刊には実母の遺体を浜に埋めるという悲しい事件が報じられていた。葬儀費用に窮しての行動だったようだが、姉に相談してから自首したことが救い。もしも弊社に電話で相談をされていたら、こんな結末を迎えていなかっただろうと残念にも思う。

 過去にお布施まで立替て担当したこともあるし、ある時払いの分割というケースが何件もあった。

 大阪市内で市民であれば火葬料金6000円、お柩と寝台自動車は不可欠だが30000円と少しで火葬までは可能。このぐらいだったら私のポケットマネーで立て替えられるのに、そう考えたら気の毒で仕方がなく涙が出てきた。

 葬儀費用が高いと思われたからこんな犯罪が起きたのだろうが、葬儀業界の一員として責任を感じており、そのお母様に手を合わせ、とんでもない行為に入ってしまった人物の刑が軽く済むように祈っている。

 今日の結びに、ちょっと余談を。我々葬儀社は、知らない内に犯罪に巻き込まれてしまう危険性が秘められている。それは、テレビドラマでもシナリオになったことのない完全犯罪の片棒を担がされること。

 整備されていない法律の抜け穴を利用した犯罪だが、そんなストーリーの小説を愚書エッセイ「葬儀屋 悦生」の中に書いたのは平成元年の夏だった。あれから法律はそのまま、知らない内に共犯とならないよう、いつも<?>を抱くことにしている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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