2003-03-25

プロデューサーとしての行動    NO 382

ハードなスケジュールに追われている。私の仕事は「創作」、ないものを創造すること。その大半がシナリオ構成である。

 シナリオで重要なのは情報の収集。スタッフから入手する情報だけでは見えないことも多く、時には自身の目と耳で確認する行動を取ることもある。

 昨日、ある社葬のプロデュースのため、お客様のご自宅にご迷惑を掛けてきた。

故人が生活をされていたお家の中には生きられた「証し」がいっぱいある。置かれてある品々に思い出が詰まっている。ご遺族から拝聴する人生のひとこまが、私の創造の世界を拡げてくれる。

 社長さんがわざわざ車を運転され、会長さんが晩年を過ごされておられた仕事場にご一緒した。

 机上のガラスの下に走り書きのようなメモが残されている。それらの中には閃かれた人生訓的なお言葉がしたためられているものが多く、「現場100回」という刑事さんの基本哲学を思い出した。

  階段を上がる。それは、故人が何万回と通られたところ。ご案内くださった社内を拝見しながら社風が感じられてくる。営業本部の部屋ではひっきりなしに電話 が掛かっている。社員の皆さんの活気が伝わるが、それは気持ちのいい空間。<こんな会社で働ける人達は幸せ>。瞬間にそう思った。

 取材のための訪問を終え、外に出る。少し雨が降ってはいたが春の兆しが感じられる。春をどのように表現するか、そのテーマからシナリオをスタートしようと考えているが、今日の数時間だけでも多くの収穫があり、整理割愛するだけでも大変な作業となるだろう。

 明日からキャスティングにも入るが、それぞれの世界のプロ達のスケジュール調整も難関。構築するためには何より順番が大切。そこから最大限のパワーを引き出し構成されていくもの。この間のプロセスこそにプロデューサーの力量が問われる。

 今日の朝から優先順位を決め、十数人のプロ達との接触が始まる。音響、照明、音楽、映像、画像処理、デザイナー、生花装飾、印刷、カラーコーディネーターなど、その世界が多岐に亘るもの。それぞれの基本の入り口ぐらいは勉強してきたつもり。

 プロに仕事を依頼する時、何より重視することは「感性」と「人柄」。これなくして納得に達する仕事は完成不可能。私は、この部分で誰よりも幸せ者。ブレーンの中にはそんな人物ばかり。数十日間を要するような世界が数日で可能となる。そこが弊社の最も強い部分。

 ご遺体があられる場合、通夜の式場で、「こんなことがこんなに早く出来るなんて、前からお願いされていたのですか?」という不思議そうなご質問が多いのも特徴。ここにも付加価値が生まれてくる。

 私の専門分野は、司会とプロデュース。シナリオ構成で大切にしているのはお帰りになるお客様の後ろ姿。そこに担当した仕事の成否が凝縮されている。

 反省はするが後悔はしない。与えられた仕事が無事終わった時、そんな私の哲学が再認識に至るように努力するつもりだ。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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