2004-03-07
ええカッコですが NO 723
梅の花をこよなく愛される人が多いが、上品な装いで優雅な香り、その可憐な姿は梅の独自性のような感じがする。
関西では「一目百万 香り十里」と称される和歌山県南部梅林が有名だが、もう満開を過ぎてしまい、半分ぐらい散っているそうだ。
そんな中、午後に時間を空けて大阪城公園に出掛けてみた。森ノ宮駅で降りて歩き出すと北の空が真っ黒、<雨かな?>と思っていると雪が降り出した。
観梅を目的に来られていた大勢の人々、予想外の猛吹雪に城門の下に走り出す。
「ここは、北国か?」 観光バスで来ていた団体さんの一人がそんな冗談を飛ばすが、それほど大阪には珍しい吹雪だった。
天守閣を見ると雪で霞んでいる。大阪に在住しながら間近に大阪城を見上げたのは久し振りのこと。城壁の大石に先人の存在が強烈に伝わってくる。
降り止まぬ雪を恨めしく思いながら、歴史が遡っていく。菅原道真公から万葉集にまで至ってしまう。
万葉集は、「萩」に次いで「梅」を詠んだ歌が多く、昔に「救急車」と記憶していたから確か119首だったと思う。
その中には「雪」と併せて読まれたものも多く、次の2首が浮かんできた。
『梅の花 枝にか散ると見るまでに 風に乱れて雪ぞ降り来る』
『雪の色を奪いて咲ける梅の花 今盛りなりと見む人もがも』
<風流だ>と思っていると小雪になった。今度は猛烈に冷え込んできた。こうなれば「花より団子」と屋台を物色。熱々のおでんに焼き芋を買った。
さて、風流が現実に戻ったところで、また風流に。
夜、自宅で久し振りにブランデーをストレートで飲んだ。薄い水割りはお付き合いで飲むことはあるが、ストレートというのは30年振りぐらいになるだろう。
万葉集的な女性が恵贈くださったミニボトル。それは、私が生まれた1947年作のものだった。
「古(いにしえ)の」なんて歌を詠みたくなった思いだったが、何せ相手様は歌にも造詣深い人。互いにコラムを発信し合う「えにし」を思い、禅語調に次の言葉で感謝を申し上げよう。
『風従花裏過来香』・・「かぜかりよりすぎきたってかんばし」
人生は、人に出会い花に出会うもの。「影響しあって人生」という意味だそうで、合掌申し上げる。