2004-08-20

道 楽 ?   NO 887


 前々から気掛かりになっていたことがあった。自宅の近所で知友夫婦が居酒屋を開業したのだが、お祝いをしただけでまだ一回も訪れたことがなく、<何時か>と思っていたから。

 それが、今日、実現した。互いに初老の年代、「あまり無理をしないように」が合言葉。短い時間を過ごし「ご馳走様」と帰ってきた。

 夫婦が弊社の女性社員のことを褒めてくれた。仕事の現場でのことだけではなく、自転車で出勤する際に何度か会ったそうで、その挨拶の表情が素晴らしいとのこと。それで話しが盛り上がり、明日、その社員にプレゼントを持たせて行かせる約束に発展した。

 プレゼントとは「味付け海苔」。今年、ある機縁から素晴らしい海苔の存在を知るところとなり、無理を願って大量に送付いただくことになった。

 有明海の特殊な海苔、プレゼントをした皆さんから「何とかならないか」と注文が殺到、 産地である養殖会社さんに「お願いします」と手紙を送って送付いただいたのだが、海苔はやはり自然の産物、その年の自然環境によって味が大きく変わることを知った。

 正直言って、今年のものはあまりよい出来栄えではなかった。それでもテレビでCMを放映している海苔よりもはるかにおいしい。「来年、20個ぐらい頼めないかしら?」なんて注文もあったのだから貴重な本物なのだろう。

 世なの中に存在する本物には、共通して「こだわり」が秘められている。この海苔もそんな職人の頑固な世界が背景に。それらは「お金」だけで解決出来るものではなかった。

 どんな世界のプロにも「笑われたくない」という誇りがあるもの。葬儀社である私にだって譲れない世界があり、お断りをしてきた歴史もある。

 あるホテルで行われた偲ぶ会、参列者1人の料理料金が35,000円というのがあった。

 「これだけの料理を振舞うのだから参列者は満足するだろう。第一部は適当に」と言われてプロデュースを辞退したことも。

 「プロは、笑われる仕事はしません。笑われたら自身の恥です。他社にお願いしてください」と帰ってきたら、一週間後に電話を頂戴し、「やはりプロにお願いする」と再度依頼をされることに。

 そんな仕事を何度したことだろうか? それらが私の人生の誇りでもあるが、他人はそれを「道楽」という言葉で表現するみたい。

 <プロって、道楽精神があるから成り立つんだ>と思っている私である。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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