2007-05-02

もうすぐ母の日が  NO 1852


「お休みは?」と伺ったら「暦通りです」と返ってくることが多い今年のゴールデンウイーク、夜に蕎麦屋さんのご夫婦に会ったら「明日の夜行バスで善光寺さんへ行ってきます」と言われた。

 あちこちの仏閣の訪ね、朱印をいただかれている信仰心の厚い方、それにしても強行軍の行程にびっくりだった。

  あるご葬儀の担当責任者がクタクタに参っていた。故人がお好きだった花が入手困難という事情。産地の出荷や花卉市場もGWが関係し大変。その上に「日持 ち」の悪い花というところから悪条件が重なってあちこちに手配。最後は百貨店のフラワーショップを回って集めており、各百貨店の包装紙が目に留まった。

 予算は想像をはるかに超える高額となったが、お母様を亡くされた娘さん達の心情を慮り、もうすぐ迎える「母の日」のことへの同情の思いもあったよう。

 故人がこの世に生を享けられたのは室戸台風の年だった。第二室戸台風は私も体験したが、第一の室戸台風は「猛烈で記録的な台風」という程度しか知らず、ネットで調べることにした。

 その日の夕刊記事を読む。一面の丈夫に右からの横書きで『けさの大台風・空前の大災害』との大見出し、そして次のような小見出しがあった。

『世界最大風速實に六十メートル』『近畿一帯に猛威を揮ふ』『大阪は正に台風の中心』『各地の死傷者多数に上る』『急行列車転覆し死傷百数十名を出す 瀬田川鉄橋の大惨事 東海道線不通となる』『野洲川鉄橋でも貨車四十五輌転覆』『大軌布施駅近くで満員電車転覆』

 これだけでも想像を絶する猛烈台風だったことが理解出来るが、悲劇的な事実が多くの学校の倒壊で犠牲者がいっぱいあったこと。

上述の方の葬儀が行われる式場の前に学校があり、当時は高等女学校だったらしいが、一面の見出しにはそこでも15名の死者があったと記載され、そこに不思議なご仏縁があるような気もしたお通夜だった。

 上記にあった「大軌」とは現在の近鉄線だが、一面の左片隅の見出しには『校外電車は全部不通 出勤時の大混乱』とあり、台風が猛威を振るっていた時間帯を理解、必然的に登校していた子供達に被害が及んだ事実を知ることになった。

  この年、大きな事件が多かった。満州国の帝政実施から始まり、3月に函館で大火。ワシントン条約破棄を通告という急変する社会情勢の中、11月にベーブ・ ルースを筆頭とする大リーグが来日、その1ヵ月後には現在の巨人軍の母体となる「大日本東京野球倶楽部」が創立されていた。

 パーマネントに開襟シャツが流行し、「赤城の子守歌」に「国境の町」が流行したのだから「東海林太郎」さんが歌っておられたのだろうが、因みに不思議とこの2曲を歌える私も改めて自身の年齢を感じてしまう。

 今からナレーションの草稿を始めるが、メールを開くと山ほど入っている。まずは迷惑メールを処理しなければならないが、愚かな行為が罷り通る社会の到来に嘆かわしい思いが。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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