2006-02-12

自然な雰囲気?  NO 1423


 私のプロデュースの仕事のブレーンには様々な分野のプロ達が存在する。ホテルや文化ホールなど他府県での仕事の場合、前日に先入りし、会場関係者と打ち合わせをしてくれる担当者もおり、時にはリハーサルまで済ませておいてくれる。

 初顔合わせで音響、照明、舞台監督、サービス・マネージャーさん達との打ち合わせを行うのは簡単ではなく、お客様のためにベストを求めるには妥協を許さず、徹底したやりとりを紳士的に進める訳だが、本番当日、会場に入った私が<?>を抱くことが数回続くことがあった。

<どうして?>という疑問は、相手側と挨拶を交わした際に感じてしまうこと。どうも「恐怖感」を抱かれてしまっているように思えてならなかったからである。

 言葉遣いや仕種は<やさしい!>と自負しているが、何か誤解が生まれているようで気になり、ある時、本番が終わった際に先方の舞台監督さんに「やんわり」と尋ねてみたことがあった。

 そこで初めて知ったこと、それは、前日入りのブレーン達の言葉からだった。

「明日の本番にやってくるプロデューサーと司会者兼任は、言葉遣いはやさしいけど恐ろしい人、皆さん、気を付けて、神経を遣ってください」なんてことを伝えていたのである。

<どうりで!>と理解には至ったが、どうも仕事がやり難い問題もあり、その後に紹介の伝え方を変更して欲しいと要望した。

しかし、それに対して異論を唱えてきた彼ら。その言い分は、それが最もそれぞれのパワーを引き出すテクニック・キーワードだと考え、今後もそれを続行するという反論であった。

 それも方便ということからすれば一理あるが、心配だったことは「誤解されたまま」で終わってしまう危険性。恐怖感を与える「手法」に私が利用されるような気分も生まれ、強い抵抗感を覚えていたのである。

「そ れもプロデュースの重要な部分、それこそキャスティングではないでしょうか?」との反論に「相手側の存在を尊重する手法に変えるべき」と話し合い、そこか ら始まったのが「普通じゃないよ」から進展変化して生まれた「変なオジサン」という呼称、今では「愛称」になってきたような観もあるこの頃である。

 一昨日の「偲ぶ会」でもその呼称がコミュニケーション・アップに貢献。挨拶を交わす際に「変なオジサンですけどよろしく」と言うと表情が和らぎ、本番が終わってからの御礼の挨拶で「変なオジサンの意味、分かったでしょう?」と言うと笑われる。

 ひょっとして、心からそう思われているのかもしれないが、それは「ソフト・パワー」というプロデュースの重要な部分であると確信している。

 アメリカに在住する娘ファミリーのHPに、孫が通う学校の校長先生と問題児のコミュニケーションが書いてあり興味を覚えた。

「校長先生は、やさしいけど、怒ったら怖い人」という存在、それは担任の先生達が幼い子供達に対して伝えるべき大切で有効な教育プロデュースのような気がする。

 ちょっと長くなるが、今日の結びに「話術」に関して触れておこう。大規模な社葬やお別れ会、また披露宴など祝典には「弔辞」「祝辞」という「詞」と「挨拶」が付き物だが、本番が終わってからスタッフに対して「誰がよかった?」と感想を求めている。

 はっきり言って「うまい!」という人は希である。原稿を創作される際に「あれも」「これも」と増えてしまい「盛り沢山」になり過ぎるケースが多く、ご自身の話術のレベルをご理解されておらないアンバランスが露呈し、気の毒でならないと思ってしまう。

  今回の「偲ぶ会」だが、チーフ・パーサーの感想によると献杯の発声をされた方が印象に残ったそう。「内容がまとまっている」「偲ぶ会らしい雰囲気が伝わっ た」などが評価だが、同感であったので個人情報保護法を逸脱し、それが大阪府議会議員「朝倉秀実」氏だったことをオープン化させていただく。

 私は「やさしさ」というソフトなご口調の中に何より「礼節」を感じ、一方で議員らしい重厚さの「味」にも高得点を贈りたい。

  司会を担当する場合、センターマイクでお言葉を述べられる方々には、開会前にご本人が望まれるご紹介のありかたやタイミングについて打ち合わせを行うが、 今回は一切していなかった。なぜなら、それぞれの方々が安心して聞いておられるレベルを知っていたからで、司会者の基本的「礼節」を欠如したと言うより 「パス」した横着な行動と言えるかも。

 献杯時に皆さんが勝手に起立されたらという問題もあるが、私の判断は、議員の上述の「礼節」を以前から確信しており、結果は予想通り献杯準備が整っても着席されたままだった。

 ここでご理解いただきたいことがある。乾杯や献杯の際、出席者側に「この人の挨拶は聞きたくない」という抵抗感というものが自然の雰囲気として伝わって来るものである。

 今回は、全くその雰囲気がなく、むしろ「聴きたい」という空気さえ生まれていた。ということは、出席者自身も議員のソフトイメージをすでに感じていたという結論になるだろう。朝倉秀実議員、なにとぞご海容くださいますよう・・・九拝合掌
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