2005-01-27

偶然の産物?  NO 1049 


 明日の夜、弊社のホールでコンサートがあり、司会を担当しなければならない。

 テーマは「日本の歌」となっているが、童謡を中心にし、誰もが知られるスタンダード曲ばかりが選曲されている。

 人それぞれに思い出の曲があるだろう。自身を励ます曲、独り淋しく歌う曲から、青春時代を思い出す歌、初恋の時期に流行していた歌、また去って行った失恋の相手を思い出してしまう曲もあるかも知れない。

 母が歌ってくれた歌、親父が口ずさんでいた歌、そしてラジオやテレビで聞いた歌など、過ぎ去ったこれまでの人生の背景に必ず心に残っている曲が存在しているもの。

 自然の恵みに感謝をする歌詞、新しい誕生を祝うに相応しい旋律など、音楽は誰もが心に沁みる出会いと別れの歌の世界がある。

 小学校唱歌集の初編が登場したのは明治14年11月だったそうだが、文献で当時の曲の歌詞を調べてみてびっくりしたことがあった。

 「春の弥生のあけぼのに・・・」と歌われる「春のやよい」だが、その旋律は古典曲で誰もが知る「越天楽」であり、宮内庁の雅楽部や仏教の奏楽として代表的な曲である。

 この歌だが、私は中学校3年生に歌った覚えがあり、確かに音楽の教科書にあったと記憶している。

 「ちょうちょ ちょうちょ 菜の・・・」も入っていたが、当時は「てふてふ」と記載されていたのは50代以上の方ならご存じだろう。

 「蛍」というタイトルの曲だが、これこそ卒業式で歌われる「蛍の光り窓の雪・・」なのだが、3番から4番の歌詞には護国精神が歌われ、「千島の奥も沖縄も八洲(やしま)の内の守りなり・・」なんて出てきて驚いた。

  もっとびっくりしたのが「君が代」で、「苔のむすまで」で終わっている現在の国歌だが、「動きなく常盤のかきはにかぎりもあらじ」と続いていたとは知らな かったし、2番が存在しており「千尋の底のさざれ石の 鵜のみる磯とあらはるるまで 限りないみよの栄えをほぎたてまつる」と記載されていた。

 司会をするには余裕が大切。それには勉強も重要だし雑学の引き出し準備も必要だ。そんな資料調べをしていると、音響と照明のプロ達が隠れ家に。

 前から「試してみましょう」と言われていた機材のテスト、ビデオへの音声収録時に声の周波の上下を調整するコンプレッサーだが、接続して録音してみると女性スタッフの声が円やかに聞こえてくる。

 しかし、私の声には不要というのがプロ達の結論。声質、抑揚などの枠がどの域も一定しているそうで、セッティングに及ぶことはなかった。

 ホールでは、明日のコンサートのため、スタッフ達が新しい機材をセッティングしていた。それは、ゲストが歌う際に必要なモニタースピーカーだが、数年前に購入し、一回も使用することがなかった2発のボックススピーカーを準備していた。

  プロ達にお願いをして微調整、「信じられないです。こんな音響空間なんて珍しいです。希少価値がありますよ」と、お世辞でないような賛辞の言葉。偶然そう なったのだろうが、舞台中央前に置かれたスピーカの影響で、映画館のドルビーシステムのような雰囲気が出ている。明日のコンサートが楽しみだ。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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