2003-01-14

なんと罰当たりな事を    NO 313

昔、日本国憲法の暗記に挑戦したことがある。今考えれば何の役に立つのだろうかと思うところだが、講演の際の「枕」に役立つことにはなっている。

 すべては記憶の中で遠いところへ行ってしまっているが、不思議なことに、憲法改正について記された第96条だけは、すらすらと全文が出てくる。

 今日は、そんな憲法に関することをプロローグに、信じられない事実を「独り言」としてしたためます。

 第3章「国民の権利及び義務」の中の第25条は、次のように記されてある。

 『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』

 「最低限度」という言葉の解釈や判断が難しいが、ホームレス生活を余儀なくされている方々が増えている昨今にあって、この条文が空しい響きを呈しているように思えてならない。

 そんな憲法の精神を遵守するためか、社会には「生活保護」という福祉政策が存在している。

 民生児童委員の存在、生活保護、医療保護の言葉などがこれらに充当するのだろうが、我々葬祭業にも組合を通じて、「福祉葬」と呼ばれる葬祭規定が設けられている。

 民生委員や役所からの依頼により、生活困窮家庭の葬儀を担当する訳だが、祭壇、葬祭用具、人件費、霊柩車などを含む葬祭料金が定められ、読経料、文書料及び供物おこが料については決められた金額を業者が立て替え、後日に役所から振り込まれるシステムになっている。

 「読経料」とは宗教者にとって失礼な言葉表現。お経に料金意識など存在せず、「御布施」とするべきだろうが、そこがお役所らしいところ。
遺族が存在する場合は「56,000円」、存在しない場合は「46,000円」と定められ、その差額は納骨ということが原因している。

 正直言って、この金額で宗教者にお願いするのには忍びない。中には「困っている人を救うのが宗教者の仕事だ」と快く引き受けてくださる方もおられるが。

 さて、今日の本題は、ここからである。上記の「遺族がおられない場合」に大きな問題が秘められている。 

 遺族が存在しなければ業者サイドで進めることになり、宗教者を依頼したかどうかが不明となってしまうのである。

 私がこの問題を知ったのは、弊社への入社希望で面接をした人物から聞いた事実であり、採用することはなかったが、本人は、前に在職していた葬儀社での信じられない悪徳行為に良心が咎められて退職したそうで、衝撃的な事実を告発するような勢いで聞かせてくれた。

 ここで、その時のやりとりを会話形式で下記申し上げる。

 「病院から寝台自動車で自社に移送し、死亡から24時間が経過すれば火葬場に向かうだけで、葬儀なんて全くしないのです」

 「お経もなしで?」

 「「そうです。でも、お布施の分は請求していました。これには仕掛けがありましてね。いつも設置してある祭壇の前で写真撮影をするのです」

 「?・・・・」

 「布団や棺の上に被せる金襴の覆いがあるでしょう。あれを髪の薄い社員が身体に巻きつけ、後方から撮影するのです。誰が見てもお寺さんに見えますよ」

 いかがだろうか、これは、詐欺という立派な犯罪である。何より故人に申し訳ないが、日本が文化国家でない証しを物語る寂しくて悲しい現実なのである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net