2004-01-21

厳寒だが、あたたかくお送りを  NO 676

明日の葬儀のナレーション創作をしていると、申し訳なさそうに女性スタッフが入ってきた。

 「また、赤字の葬儀です。でも、お気の毒なのです」 それが第一声で、訴えるような
面持ち。事情を聞いてみると、全くお金がないというお家。

納棺、柩、火葬、霊柩寝台車、ドライアイス、タクシー代を入れた総額で数万円という
葬儀。「人件費が」とまで言い出した時、言葉を遮り「ご奉仕でいいよ」と返した。

 「現在、これだけしかないそうで、お預かりしてきました」

 その手に1万円札が3枚あったが、それは、ご当家にとっては大変な金額の筈、そんな思いがひしひしと伝わってきた。

 夕方、それぞれの式場に向かうスタッフたちが集まって話し合っている。そこで「お願いね」と頼まれ、「任せて」というやりとりがあった。

 お布施を包むことが不可能で、火葬場へ直行という寂しくて悲しい葬儀。「任せて」と応えたのは僧籍を持する社員。彼が早めに参上してお経を唱えることになった。

 「お布施を請求するなよ」という不謹慎な冗談が飛び交っていたが、彼は「功徳ですから僧衣を着けます」と張り切っていた。

 昨日、たまたま「世の中は、様々」というテーマで書いたが、こんなケースが全国的に増えてきているようだ。

死亡されてからの時間を確認すると、丸一日が経過している。<どうしたらいいの?>という家族会議、そこで弊社に依頼をされる結論に至るまでの辛苦のご体験を拝察する。

 一方で、女性の葬儀の飾り付けを担当していた男性社員、メモリアルボードをご覧になった喪主さんが号泣されるのを見て、「僕も思わず泣いてしまいました」と目が赤い。

 そんなやさしい社員たちが存在する弊社だが、彼らに「功徳」という言葉が伝わってきたと確信しており、ミス・ホスピタリティの称号を贈った彼女に、ミス・ボランティアという勲章も与えたいと思い出した。

 今日は、大寒。明日は強烈に冷え込むそうで、午後9時頃、九州自動車道や松山自動車道が雪で通行止めという情報が入った。

 さて、今、私には、大きな悩みが発生している。鹿児島と北海道への出張が重なり、鹿児島から札幌まで嫌いな飛行機に乗らなければならないが、当日の千歳空港の雪が心配で、前日の便にしなくてはとも苦慮している。

 世の中は、決して自分の思い通りにはならないもの。これでもか、これでもかというように皮肉な試練が押し寄せてくるが、自然との闘いには勝てないもの。ただ謙虚に受け入れる素直な自分でありたい?と悟りの境地。

 そして、現実的な凡人に戻り<雪が降りませんように、飛行機が大丈夫でありますように>と祈ってしまう情けない私。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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