2004-01-20

様々ですね?   NO 675

事務所に立ち寄る途中、<見たことのある制服があるものだ>と思った男女二人連れ、近付いたら我が社のスタッフ。秋田県出身の近鉄ファンの男性と、エレクトーンの演奏を得意とする女性だった。

 二人は、担当していた福祉葬儀を終えての帰路。「問題なかったか?」と声を掛けると、「はい」と元気な返事。続いて「ニヤッ」という表情を見せた。

 「ちょっとだけ、噛みました」 それは、司会を担当していた男性の反省点だが「私も、ちょっとだけ噛みました」と女性スタッフも。

 彼女は、随行して行った火葬場でのコメントだったが、二人の共通点は、<あれも、これも>と頭の中で組み上げてしまう旺盛なサービス精神がマイナス作用したもので、「滑舌」テクニックとは異なる問題だと指導しておいた。

 世の中は、様々。1億円以上を費やされる社葬もあるし、公的な福祉葬儀で送られる方もある。

 どちらも葬儀に変わりはなく、ご遺族のお悲しみも同じだから「送らせていただく」というサービス理念は変わらない。

 ここで、美談を紹介申し上げる。ある福祉葬儀が行われた際、導師をつとめられたお寺様が素晴らしい方。びっくりするほど立派な装束を着けられたので心配し、打ち合わせ時に確認したら、次のように言われた。

 「福祉葬儀のことは理解していますよ。お布施は規定でよろしい。人が亡くなられたのだから正装で儀式をつとめる。それは私の哲学だから心配なきよう」

 そのお言葉、すぐに遺族に伝えたが、10人ほどおられた親戚さん全員で手を合わせ、喪主さんが「お父さん、よかったね」と、祭壇の遺影に語り掛けられた。

 ここで、上述のフレーズ「世の中は、様々」が再度登場。

 ある通夜が終わった後、スタッフがお寺様の控え室に呼ばれていた。しばらくすると難い表情で私のところへやって来た。

 「明日の葬儀の『お布施』、幾ら包むのか? それによって装束を考えるからとおっしゃられました」

 そして、またまた「世の中は、様々」

 ある福祉の葬儀が終わった次の日、喪主さんから電話があった。それは、感極まった涙声。次のように言われた。

 「昨日のお寺さんが来られ、お供えをくださったのです。『お布施はいただき、ご本尊にお供えいたしております。これは、お供えですから』と言われて置いて行かれたのです」

 そのお供えの金額、お布施と同額だったそうだが、そんな宗教者が存在されているのも事実。正に、「世の中は、様々」ではないだろうか?
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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