2004-09-04

びっくりした雷(神なり)  NO 903


 昨日の夕方にお電話を頂戴した葬儀、朝からスタッフが走り回っている。

 参列者500人という予定だが、めったにない神式の中でも少ない宗教の関係から、2時間の式次第。特別な資料作りに追われている。

 神式の祭壇には神饌物が必要、お神酒、鯛、餅、野菜、乾物、果物、菓子などの買い物に走らせたが、最近の野菜はスーパーの影響からかパック売りが多く、芽の付いた蓮根や葉っぱのある大根、ニンジンが入手し難いので困っている。

 昔は祭主さんや神官さんがご用意をされたが、最近では我々が準備をするようになってきた。祭主さんによって指定される物が異なるのも事実。「ネギとピーマンは買わないように」と指導される場合もあれば、その反対のケースもある。

 悲しみのご遺族にこんな買い物は無理だろうし、近所のお手伝いの方でも意味がわからず問題が発生する。

 そこで我々にお鉢が回ってくるわけだが、<故人との最期の大切なコミュニケーションなのに、じっくりとご一緒に買い物をしたいのに>と思っても無理みたい。

 葬儀でのご遺族の神経の大半が、参列者という対外的な部分に向けられてしまう。病院での看護からを慮ると大変なご心労を拝察する。

 誰かが立派な昆布を買ってきていたが、「湯を沸かせ」と命じ、湯気で柔らかくした昆布をデザインする。

 「わあ~」と驚いたスタッフ、これからは自分で出来ることになった筈。

 一方で、玉子を積み上げるのも私の得意技。40個の玉子を富士山のように積み上げるテクニックには秘められた仕掛けが必要だが、伝授した筈のスタッフでも30個が限界。35個で合格。夕方に式場に行って手直しをすることに。

 今年の春、鯛の入手で困ったことがあった。どこの魚屋さんにも並んでおらず、知人の鮨屋さんに頼み、生簀で泳いでいた立派な鯛をお願いした。

 「いくら?」と聞いたら困惑され、「一匹そのまま売るなんて例がないし?」と返されて、今度はこちらが困惑。その夜に数人の社員を伴って鮨屋さんでのひととき。えらい高価な鯛となってしまった事件だった。

 この宗教では、お通夜のことを「終祭」と表現される。神式の死の定義も「昇天」「出直し」「帰幽」など様々あるが、帰幽の発声は難しい。なぜなら耳にされた方には「急」や「杞憂」にも聞こえるから。

 宗教独特の言葉遣いには神経を遣う。文語調の祝詞は祭主さんにお任せし、我々司会者は聞き易い日本語で「言霊」として伝えたい。

 終祭の始まる10分ほど前、何が起きたかというような稲光。その瞬間にカミナリの轟音。それはこれまでの体験で最も迫力のあるものだった。

 そこから大雨、幸いに玉串奉奠時には止んだが、明日の天気は雨模様。雨が小雨であってくれることを祈っている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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