携帯電話やインターネットが発展していなければ、死を迎える人が少なくなっていた筈と思ってしまう。今や何でもありのネット社会、メールのやりとりで考えもしなかった悲劇の世界も待ち受けている。

　一方で、それよって情報を得ることになり、病気の治癒に役立ったり命が救われることもあるだろう。

　グーグルで「自殺」と検査すれば８０万以上のページが存在している。自殺を肯定するページもあれば、思い止まらせようとする相談ページもある。どちらのページを開けるかは自由だが、人は、そのページを開ける時点で「心の病」に侵されていると判断したい。

　昨日、７人の若い人達が集団自殺。また、東京の百貨店の屋上から飛び降りようとする女性の姿をテレビカメラが捉えていたが、人間とはつくづく弱い生きものであることを実感してしまう。

　葬儀の場で悲しみばかりに接していると他人にやさしくなれると教えられたことがあるが、こんな悲劇や殺伐とした事件の記事を目にすると虚しさに襲われる。そこで、今日は、過去にも掲載した昭和５５年に発刊した愚書「お葬式と春夏秋冬」の冒頭のページを再掲載申し上げる。

　少し文字数が多くなるが、自らの死の「死防」になり、生きる「志望」につながってくれることを願っている。


『　死　訪　』　

　あなたは生きているのでしょうか　それとも生かされているのでしょうか　
　あなたは幸せであられるのでしょうか　それとも不幸であられるのでしょうか
　悲劇のヒロインとなられた時　自らの死を考えられることは　人間に与えられた権利でしょうか
　蛇に呑み込まれようとする蛙よりも　釣り上げられようとする魚よりも　悲しく哀れで不幸なことなのでしょうか　
　あなたは生きているのでしょうか　それとも生かされているのでしょうか
　あなたは来年の今日も生きておられますか　いや　明日も生きておられますか
　そうです　誰にもその保証は出来得ません
　あなたは生きていることに感謝をされていますか
　あなたは生きているのでしょうか　それとも生かされているのでしょうか
　そうです　あなたは生かされているのです
　あなたは生きていることに感謝をしましょう　生かされていることに感謝をしましょう
　あなたは目が見えますか　見ることが出来るなら感謝をしなさい
　あなたの耳は聞こえますか　聞くことが出来るなら感謝をしなさい
　あなたの口は喋ることができますか　出来るなら感謝をしなさい
　あなたは食物を口にして味覚がありますか　あるならば感謝をしなさい
　あなたは歩くことが出来ますか　出来るなら感謝をしなさい
　あなたは走ることが出来ますか　出来るなら感謝をしなさい
　あなたは幸せでしょうか　あなたは欲するものがありますか
　あれば感謝をしなさい　なければ感謝をしなさい
　あなたは生きているのですか　あなたは生かされているのですか
　あなたが生かされているとするならば　それ以上に何を望まれるのでしょうか　
　あなたは幸せでしょうか　それとも不幸であられるのでしょうか
　あなたが懸命に生きようとされている時　死はきっとあなたから離れることでしょう
　しかし死があなたに近づいた時　あなたは生かされていることに気付くでしょう
　あなたはこの世に天国があると思われますか　あなたはこの世に地獄があると思われますか
　思われる人は感謝をしなさい
　あなたは来世に天国と地獄があると思われますか
　あると思われる人は感謝をしなさい
　あなたが生きていようと　あなたが生かされていようと　感謝をされることは人間である証拠なのです
　天国と地獄はこの世にあります　天国と地獄は来世にもあります
　天国と地獄はあなた自身の心の中にもあります
　あなたは生きていますか　いや　生きようとされていますか
　あなたは生かされているのですか　いや　生かされようとされていますか
　あなたは幸せですか　いや　幸せであろうと努力されていますか
　あなたは不幸ですか　いや　不幸でないようにと努力されていますか
　あなたは懸命に生きなければなりません
　生かされることが終わるまで　死があなたに訪れるまで
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　七万歩才