2002-12-10

悲しみの儀式の呼称    NO 279

葬儀、葬式、葬祭、葬送など、悲しみの儀式を表現する言葉にも様々ある。
 
 一般的にどの語句の使用度が高いかを調べてみたら、上記の順になった。

 これらはインターネットの文字検索にも顕著で、登場するページ数を見れば一目瞭然。

 葬儀には「屋」と「社」。葬式には「屋」の文字を連ねて呼称され、「業」の文字を付けて表現されるのは葬祭と葬儀で、このふたつには葬祭業を営む葬儀社の商号によく使用されている。

一 方で、「葬送」は新聞の家庭欄、文化欄によく登場しており、ネット検索でもそれらが引っ掛かってくるが、葬儀、葬式、葬祭の三つの言葉には「文化」という 語句は似合わず、やはり「葬送の文化」とするのがぴったりと合い、マスメディアが専門的な取材に基き論じる時に重宝されているようだ。

 しかし、社会面を見ていると、葬儀に関する事件の報道記事では「葬式」が多く、お寺さんの紹介でキックバックの表面化や、契約の不履行と心付けでの悪徳行為の暴露が新聞の一面を賑わした「ベルコ」さん問題では、「葬祭会社提訴へ」という見出しに特徴があった。

 今、我々葬祭業界は、社会の中で不信感を抱かれる存在になっている。葬儀が非日常的なことで、業者任せや他人任せで進められてきていた背景があり、悲しみの中のハイエナビジネスという問題提起の言葉で登場し、非常に残念な思いである。

 無駄を割愛し、自分や家族で真剣に考える時代の到来。また、個性化と多様化への対応が不可欠となっている潮流にあって、無宗教形式の流行の現実を鑑みると、葬祭業者は意識改革から始めなければならない筈。

 弊社が加盟する「日本トータライフ協会」は、数年前からこれらのことに取り組み、メンバー達が研鑽を重ねて取り組んだのが「愛と癒しのサービス提供」。

 今、これらの実践活動が全国で話題を呼ぶようになったが、その一礼として、弊社が新聞の一面のカラー記事や社会面のトップに記事掲載された事実は、それらが社会の歓迎と賛同を頂戴している証しであると自負している。

 葬儀、葬式、葬祭、葬送。これらの言葉に秘められた「悲しみ」に変りはない。不信感を抱かれる我々葬祭業界と宗教者の皆様は、胡坐の姿勢から正座して真剣に考えなければならない時代を迎えていると言えるだろう。

 担当した葬儀を終え、後日の精算時に伺うご遺族、ご親戚、参列者からのお声。それらは最高の社会リサーチでもある。

 そこで耳にする素朴な疑問への対応と解決こそが、我々業界の文化向上のために最も近道となると確信しているこの頃である。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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