2006-07-17

幸せの味  NO 1568


 随分前からご訪問くださっている皆様ならご存じだろうが、私は「おかき」にウルサイ性格なのである。

 講演やセミナーで全国を回り、そんな先で食した「おかき」で気に入ったものがあれば無理を言って送っていただく。そんなことを何度も繰り返してきた歴史もある。

  現在までのお気に入りは、近鉄線「今里駅」近くにある和菓子司「松福堂」さんに置かれている柚子入りのもの。これは、ここの名物である栗の入った「ほっく り」さんを買いに行って偶然に発見したものだが、友人達に配ったら全員が「何処で!」と興味を抱いたものなのでお薦めだ。

 さて、我々葬儀社には色々なものを売り込みにセールスが来社する。返礼品だけではなく、法要の供養品、通夜ぶるまいのお菓子なども持ち込まれ、中には封を切って「召し上がってください」ということもある。

 そんな中「おかき」の業界で名の通った大企業の部長という人物が来社した。10種類ぐらいの品を並べられ、「お好きなものを開けますから」と言われたので「海苔巻き」タイプを選んで味見をさせていただいた。

 正直に言って期待外れ、失礼な表現で恐縮だが<醤油がダメ、もうちょっと何とかならない!?>という味と感触。そこでふと気付いたのが上述の「おかき」で、秘蔵してあった一袋を取り出して開封、「どうぞ」と勧めてみた。

「営業に参りまして、このようにお客様側から『おかき』を出していただけるなんて初めてです。いただきます」

 そしてボリボリ「すご~い。最高!」とすぐに賛辞の喚声。同時に自社の商品を一気に片付け始めた。

食するものはどんなものでも好き嫌いがあるだろう。多くの人が「最高だ!」と言っても「最低だ」と反論する人もあるし、またその反対もあるだろう。それが世の常。しかし、大切なことは出す側が自信を持って勧められる品物であることがまず基本では?

「これは、手作りです。私どものような会社では手間が掛かり過ぎて不可能な品物です。しかし、こんな味をお客様に提案したいな」と言った部長、その言葉に彼の人柄を感じたような気がする。

 松福堂さんには、私好みの「おかき」が他にも多い。私の友人達も店を訪れているようで、時折にその「おかき」を買ってきてくれている。

美味しいものって、人を幸せにするという言葉があるが、これは我々のサービスの中でも学ぶべき言葉。不幸の中で「不幸でないひととき」のプレゼントにつながる大切なヒントがあるからだ。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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