2006-07-17

夢の中のお告げ  NO 1569


 先月から痛めていた右足の踵、3日前に整骨院でテーピングをして貰ってから楽になったが、その交換で接がされる際の「くすぐったさ」が堪らず、昔から病的なほど「くすぐったがり屋」の私、足の裏が特に弱いようだ。

 整骨院が次々に開業する世の中、自宅から歩いて5分程度の範囲内に20軒ぐらいも存在しており、それぞれが活発展開をされているのも高齢社会到来が背景と思われがちだが、患者に若い人達のパーセンテージがかなり高いというのも意外な事実。

 整骨、整体、リハビリなど「物療医学」を教える学校の有名な先生の葬儀を担当したことがあったが、弔問、会葬合わせて1800名の参列があり、故人に学ばれた生徒さんの多さにびっくりしたのは、こんな整骨院ブームを迎える数年前のことだった。

 さて、幼い頃に患った眼病から視力を完全に失った人がいた。小学校、中学校と進んだ彼の一番の友達はラジオの存在。ニュースや音楽を聴くのも楽しみだったが、教育放送で勉強するのが日課でもあった。

 そんな中で特に興味を覚えたのが英会話、その進歩は著しく、中学を卒業する頃には周囲の人達から「通訳になりなさい」と言うぐらいのレベルにあった。

 そんな彼が進んだ学校が上述の専門学校、そこで整骨、整体を学び、マッサージの道を歩む決意をしていたのである。

 やがて資格を得て卒業、その後、彼の活躍する姿を見ることが出来る場所となったのは一流ホテル。それは彼が将来の夢として描いていた仕事の場であった。

 ホテルのマッサージで彼の評価と人気は別格、外国人専門という立場で厚遇され、「国際的なVIPと言えば彼」というような存在になったのも、確かな技術と堪能な英会話の為すところだった。

 そんな彼が伴侶に選んだのは同じ境遇の人。専門学校に通っている頃に知り合い、彼女も英会話が堪能で、互いが競合する一流ホテルのライバルとして認知される仲だった。

 結婚を機にバリアフリーのマンションを新居にしたが、互いの両親が交互に訪れて温かい新婚生活。やがて女の子が誕生する喜びを迎え、奥さんは退職されて子育てに専念。両家の爺ちゃん婆ちゃんの訪問光景が見られる毎日だった。

 子供を授かったのはその子だけ。こんな環境から想像するのは、娘さんが医師か看護師さんを目指すというストーリだが、確かに幼稚園の頃にそんな思いもあったようだが、その頃から通い出したピアノの勉強が彼女の考え方を変え、選ぶことになった将来の道は音楽だった。

「目の不自由な両親から誕生した自分、医師となって不幸な人を救う研究も立派なことだろうけど、夢の中に神様が出てきて決められたの」

 その神のお告げというのが不思議な内容で、夢を見たのはピアノ教室に初めて行った日の夜だったそうだ。

「お前に弟か妹が誕生したら医師になり人を幸せにしなさい。誕生しなかったら音楽で人を幸せにしなさい」

 その夢の話を耳にしてびっくりした両親だが、「お前を授かったことだけでも神様のプレゼント。お前の思うように進みなさい」と答え、お母さんの身体の事情から、次の子の誕生がない寂しい事実が打ち明けられた。

「お 医者さんになるなら勉強しなければね。でも、もう少し先からでも間に合うよ。音楽は少しでも早めに始めなければいけないそうだ。だから音楽を続けながら勉 強もしっかりとね」と現実的なことをアドバイスしたのは爺ちゃん婆ちゃんだが、それは、彼女がすでに音楽の道を決めてからのことだった。

  彼女には特別な想いがあった。それは、作曲家になって曲を残すこと。両親に捧げる曲を書き、その曲が後世に残ることになれば自分だけではなく両親の存在も 残るということ。「こんな素晴らしい夫婦が存在し、私をこの世に誕生させてくれたのです」と知って欲しいという願いであった。

 そんな彼女に特別な才能があることが判明した。「絶対音感」の持ち主であることをピアノの先生が発見したのである。

「絶 対音感」は確かに特異で恵まれた才ではあるが、それは普通の人が正常に聞こえる音が異常に聞こえてしまう不便さもあり、ピアノの世界では便利に活かされて も、コーラスなどでは音程がズレてしまう問題もある。それらを乗り越えられた時、彼女が素晴らしい音楽家になると信じている。
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