2007-04-28

外れることなく  NO 1847


 喫茶店で予想もしなかった論議が交わされることになった。常連客の人が友人が亡くなり通夜に行ったそうだが、互助会系の葬祭式場の受付で初めて体験することになった出来事に驚いていた。

「香典を出したのよ。そうしたらね、住所、電話、氏名、関係、香典金額を書き込むカードを渡され、抵抗感を感じながら書き込んで香典を渡したら、すぐにチョイスシステムの香典返しを渡されたのよ」

 それは、香典の金額によって3種類ぐらいに色分けされた薄いパンフレット式のブック、中にある葉書に希望の商品を選択して返信する形式のものだった。 

「その場で香典返しが可能!」とい合理的なシステムだが、書き込んだカードは個人情そのもの。それがご当家だけではなく、葬儀を受注した互助会側や贈答品業者が入手することに大きな問題がありそう。

 そんな話題に進展した時、少し後から来店した人物が裏話を聞かせてくれた。

 彼は、有名な百貨店の外商部門の担当者。得意とする仕事が香典返しというのだから偶然とは面白い悪戯をするものだ。

「その場返しはね、我々百貨店にとっても困った問題になっている現実なのよ。その場返しを実行している葬祭業者は売り上げを第一目的としており、我々百貨店に流れないように上流で処理してしまう営業戦略になっている事情があるわけ」

  通例は、満中陰に伴って行われる香典返しだが、それを通夜や葬儀の当日に解決してしまうとは合理的という考え方では無理があるような思いがする。香典を供 えてくださった方と故人とのつながりを考えながら、整理とお返しに苦労されることも葬送に伴う儀礼の大切な供養しきたりのひとつであろう。

 便利だけで進めてしまっては本義が薄らぐ。それらはどんどんエスカレートしてしまって本線から外れた流行に進み、やがては潮流になって主流となるのが世の中の常。ここにも「流行は業者がつくる」という格言が秘められているような気がする。

 さて、話題を変えるが、この一週間で「ご逝去とお孫さんや曾孫さんのご誕生のどちらが先か」というケースが3件もあったが、残念にもご逝去の方が先になってしまうことにてなった。

 でも、皆さんは「生まれ変わり」というプラス思考でお考えになり、フォロー申し上げるアドバイスをするまでもなかったみたい。

 世の中には様々な出来事との偶然もある。「ご逝去とお孫さんのご結婚のどちらが?」というケースも何度かあった。これまでの私の経験で何度かあった出来事だが、ご逝去の次の日に結婚式という皮肉な出来事とも遭遇した。

「このようにお考えになられたら如何でしょうか?」という私の提案に皆さんがご賛同、ちょっとした配慮で不幸をダブらせることなく、どちらにも抵抗が生じないにシナリオ構成に感謝をされた思い出もある。

 社会には勝手な思い込みで不幸な選択に進んでしまうことも少なくないが、本義を外れることなく、そこに「愛」というキーワードで解決可能なことが多いことも知って欲しいものである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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