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2003-01-16

お題目にて合掌   NO 315

昨日は、全国的に冷え込み、大阪の最高気温も6度ぐらいっだったようだ。

 そんな中、私は、2件の葬儀の進行を担当してきた。

ご宗旨は、臨済宗と日蓮宗。どちらも開式から引導までの時間が長く、参列者への「暖」に関するサービス提供をスタッフ達に命じていた。

式場の外に設置してあるテント。周囲を風除け幕で囲み、暖房設備を増やせば何とか凌げるが、一般的なマナーとしてコートやマフラーを外されることへの対策が重要。

「本日は、冷え込んでおります。お手持ちのコートをお召しくださいませ」

そんなアナウンスを行うが、これだけで参列者が行動を起こされることは少ない。

このアナウンスと同時にスタッフ達が行動し、「どうぞ、お召しください」とコメントを発して回り、何方かお一人がお召しになったらしめたもの。待ってましたかのように皆さんが行動を共にされる。

「**さんの葬儀は寒かったので覚えている」という思い出にはなろうが、「葬儀に参列して風邪をひいた」、そんなお気の毒な言葉を聞きたくないし、きっと、故人も許してくださると思っている。

さて、日蓮宗の葬儀のお通夜。ご住職の息子さんが来られたが、故人の生前のことを思い出深く語られたお説教が素晴らしく、弊社の担当チーフの女性が感動していた。

お説教は、15分ぐらいだったそうだが、私が到着した時には大半が経過されており、3分程度しか拝聴出来ずに残念然りというところだが、その短い時間だけでも「このお上人のお話は素晴らしい」と感じたものであった。

葬儀の当日、ご住職が息子さんと来臨された。そして引導文を拝聴していると、宗教者らしい弔慰のお言葉が添えられてあり、非常に嬉しく感動した。

数年前に伴侶を亡くされてからの悲しみの日々、それから後に息子さんご夫婦を亡くされた衝撃の出来事などを織り込まれ、霊山浄土で再会を果たされていることだけが安堵で救いとおっしゃっておられた。

 こんな宗教者に通夜と葬儀を勤めていただいたのだから、故人も遺族もご満足だろう。

 引導終了後に弔電代読のためのナレーションの際、ふと、ご祭壇のご遺影を見ると、「にこっ」とされるような表情を見せられたような気がしたが、それは私だけではなかったように思う。

 やがて、ご出棺。火葬場へは息子さんが随行くださったが、「自分の車で参ります」とおっしゃった車は軽自動車。ベンツやセルシオのお寺さんも多いが、こんなところにも「あたたかみ」を感じた次第である。

 お上人様。故人もさぞかしお喜びのことと存じます。ご仏縁にお題目で感謝の合掌を申し上げます。
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