2003-07-27

殺し文句   NO 498

夕方、テレビでニュースを見ていると、神戸で今日行われていた国会議員の本葬儀の光景が流れていた。

 担当していたのは、日本トータライフ協会のメンバーである「株式会社 公詢社」さん。葬儀委員長が自民党の山崎幹事長であり、政財界の大物の参列が多かったそうで、さぞかし神経を遣われたように思っている。

 弊社も数人のスタッフを派遣する予定でいたが、皮肉なことに葬儀が重なって行けなくなり、メンバー掲示板でお詫びの一筆を書き込むことになった。

 勉強熱心なメンバーが神戸に行っていた。九州の落合葬儀社の後継者で、自社のHPで「もっこすかわらばん」を発信している若手だった。

 彼は、時間があれば何処へでも勉強に出掛ける。それは現社長のDNAの影響が強いように思っているが、何かを学ぼうという真剣な眼差しを感じ、いつも何かをプレゼントしてやりたいという「徳」のある存在である。

 さて、通夜を担当してきたが、やさしさの感じる花の祭壇に飾られたご遺影がカラーではなく白黒。しかし、誰がご覧になっても女優のように美しい方。お寺さんのご法話の冒頭に「まるで女優さんですね」というお言葉まであった程。

 故人は長年に渡りご伴侶のお母さんの介護をされており、その半ばでご自身が病魔に侵され20年近く介護を受けられて来られたそうだ。

 そんな奥様に尽くされたご主人との夫婦愛は誰もが知るところ。残念なのはご遺影がそれしかないということだった。

 明日、私は、この方の葬儀の担当を終えると九州へ出張するが、この数日、何度も予定を変更してばかりで、先方に迷惑を掛け申し訳なく思っている。

 確実な約束の出来ない葬祭業という仕事。「一生に1回のことなのに、どうして司会をお願い出来ないの」と言われると心苦しいもの。それは、お客様に一生消えない心残りとなり、私の心にも後悔が生じる。

 ある時、北海道に出張するために家を出た途端、「丁度よかった」と近所の方に呼び止められ、「**さんが亡くなったの。すぐに行ってあげて」と言われた。

 事情を説明して2泊の予定を告げると、「葬儀を1日延ばして明後日にするから、1泊で帰ってきて」と懇願される。

 お陰で大変な思いのスケジュールをこなして事なきを得たが、そんな体験が何度もあった。

 「一生に1回限り」という言葉、それは、私にとって強烈な殺し文句でもあるのです。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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