2003-07-08

宿命の流れに寄せて   NO 479

来客があり、前から予定していた遠方への出張打ち合わせを済ませ、明日から先に現地へ行こうと考えていた矢先、スケジュールがどうにもならない問題が発生した。

 弊社にとって特別な存在になるお客様からお電話があり、「お母様が危篤状態」とのこと。すぐに事前相談ということでスタッフ2人がご自宅へ参上した。

 「お風呂と宿泊設備のある式場を」とご要望され、参列されるそれぞれのご親戚に個室をとなればホテルしかない。何とか式場のスケジュールを調整したいと考えている。

 このお客様は、私が担当しなければ納得されないだろうし、私が担当しなければならない「えにし」もあり、しばらく他府県に出張することが不可能となった。

 これまでにこんなことが何十回もあった。「一生に1回限りのこと。どうして司会を担当してくれないの」と、恨みのお言葉を頂戴するのは辛いこと。

世の中とは皮肉なもの。「何でこうなるの?」という、やるせない気持ちを抱きながら人生を過ごしてきた。

 これは、我々葬祭業の宿命とは理解しているが、弊社の特別なお客様は、私が司会を担当しなければ絶対にご満足に至らず、これが弊社と私の「泣きどころ」という弱点であることは否めない。

 我々の業種で「予約」という言葉はおかしいだろうが、事前相談を多く承っていると電話のベルが恐ろしく、いつも恐怖感に慄いてしまう。

 すべてのお客様にご満足をと考えると、やはり最高のキャスティングで対応したいもの。いつもプロ野球の「オールスター」のことを思いながらスタッフと嘆いている。

 「皮肉ですね」「1日早いか遅いかしていれば」 そんな罰当たりな会話も飛び出してしまう。

 これから夏の季節を迎えるが、私の出張スケジュールが山ほどある。初老の身で体調のことも考慮しなければならない。来年度に立ち上げなければならない大規模なプロジェクトも迫っている。

 そんな事情で、講演依頼があっても「近県で夜間」という条件だけ対応しているが、それさえ難しい状況となってきた。

 来る2004年と2005年、それは私の人生最期の「青春」という時代となるだろう。

 時が流れている。自身に齢が重なる。この2年間、生きた証しの集大成を「かたち」として刻みたいと思っている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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