2003-05-29

やって来る台風に     NO 444

ホテルで行われる社葬の打ち合わせを終えたが、もしも、すべての弔辞を拝受されたら10数人となり、ご遠慮願って割愛しても7人ということになってしまう。

 故人は、非常に交友関係の広いお方。会葬者の人数も予測がつかない状態で、プロデューサーとして何より悩みの種。

 弔辞7名の所要時間を推察すると、約40分。3人目の方が始まった頃から、間違いなく「おやすみモード」の光景が生まれ、その方々にお目覚めいただく私だけの『秘法』テクニックを提案申し上げた。

 さて、打ち合わせを終えた頃、携帯電話に事務所から連絡が入った。明後日に私が担当しなければならない葬儀が2件あり、その内の1件が遠方。明日のお通夜は同時間。どのように対処しようかと苦慮していた時、ホテルスタッフが驚くことを教えてくれた。

 「明後日、台風がやって来そうですよ。どうやら終日台風圏内になりそうで大変ですね?」

 これは、大変どころではない。とんでもない状況ではないか。ホテルで食事をしながらネットで台風情報を調べてみると最悪。ホテルスタッフの言う通り、終日が圏内という気象情報となっていた。

 「逸れて欲しい」と祈っても無理だし、逸れても何処かに上陸しそうだし、熱帯低気圧へのパワーダウンを願うだけだが、襲来の覚悟を余儀なくされそうである。

 これから台風シーズンを迎えるが、偲ぶ会、お別れ会、社葬などのプロデュースの際、式場がホテルということはこの部分で何より安心。その日を迎えるまでの天候の心配がないのはホテルの持つ大きなメリットのひとつであろう。

 過去に、あるホテルで行われた社葬が台風の襲来にあったが、施主側と車で参列された方々から「ホテルを式場に選んで助かった」というお言葉を頂戴したことがある。

 しかし、新幹線が止まり、他府県の会葬者が来られなかったことが残念で、その時の会社の社長さんが、「親父は雨男で、ゴルフに誰も誘ってくれなかった程でした。よりによって社葬が台風に襲われるとは、如何にも親父らしい」とおっしゃっておられたことが印象に残っている。

 我々葬儀社にとって、最も恐怖感を感じることは「風」。外側の設備が吹き飛ばされる危険性もあるが、参列者に落ち着きがなくなってしまうことが恐ろしいのである。

 全国で1日に約2700名様の葬儀が行なわれている。その日に通夜を迎えられる方を合わせれば5400名様となってくる。

 その方々の目に見えない波動のパワーが存在し、台風を消滅してくださることを心から祈念している。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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