2003-08-20

振り返って     NO 521

この「独り言」の発信原稿を打ち込んだパソコンのページ数を見ると、いつの間にか900ページになっている。

とんでもないこと、叱責されること、嘲笑を浴びることなど、様々なことを勝手気ままに書いてきたが、なにとぞご海容くださいますよう。

さ て、ふと、過去を振り返ってみた。私は、本当に恵まれた環境を与えられていたことに気付く。火葬場往復での喪主、委員長、お寺さんとの車内会話。また、多 くの機会を頂戴した講演活動やセミナーでの質疑応答。それらは、近い将来の葬送の変化を確実に予測できた礎ともなったし、そんな中で「えにし」に結ばれた 日本トータライフ協会の素晴らしいメンバーとの出会いが、何より人生の宝物になったような想いを抱いている。

まだ、日本に葬祭式場が100件もなかった時代、メンバー達がそれぞれの地で式場建設を始めたが、その際、客観的に分析して浮かんだ発想が「ホテル葬」。

<葬祭式場の流行は、お客様をホテルに向かせる>と確信を得た思い。それらは、今、完全な「かたち」として常識化させることにもなった。

自宅かお寺で、そんなそれまでの式場感覚が、葬祭式場の出現で一気にお寺を飛び越してしまった事実。心身ともに疲労困憊される遺族の心情を慮ると、会場空間という環境が即ニーズとして反応したとも言える。

それらが進むと参列者全員を含む環境空間が求められるもの。そこにホテルが存在していた訳である

少子高齢社会の到来、また、儒教精神の稀薄しつつある日本人社会を背景にしたブライダルの変化、そして、吹き始めた不況の風が「ホテル葬」の追い風になったのも事実だが、ホスピタリティを売り物にするホテル本来の仕事を始めたというのが私の分析持論。

ご 遺族や参列者の声を集約すると、誰もが「今の葬儀は変えるべき」との意識が強く、共通していたニーズであった「人生表現」をサービスとして具現化するに は、ホテル空間は最適だった。それらは、今、弊社のオリジナルサービスとして家族葬にまで提供可能となったこともラッキーなこと。

上述の「かたち」の一部を表面化したのが今回のリニューアルHPだが、発信後2週間足らずの内に多くのページ検索でトップに登場し、信じられない事実として驚愕している。

その影響からだろうか、思いも掛けなかった様々なところからのアポが入って来る。

少子高齢社会の到来に、葬祭業が成長産業と捉えられているからだろうが、葬祭ディレクター資格を目的としたビジネススクールも目白押し。そんな中の大手からも教育指導の依頼があった。

「葬祭業は、完全な斜陽産業ですよ」との思いを伝えると、相手が驚かれ、「どうしてですか?」と返され、「今の葬儀社のサービスレベルでは、確実にお客様が離れる」と申し上げた。

カリキュラムに基く「定期的な指導」をと言われたが、私の現在のスケジュールから物理的にも絶対に無理。卒業前の特別セミナーなら、1日で8時間でも講義しますよとお応えした。

宗教、哲学、サービス学、葬祭心理学、司会学、プロデュース学、演出、音楽、音響、照明。これらが私の担当可能な課程となるが、こんな「何でも屋」で「便利屋」の教授は存在しない筈。

過去に6時間連続セミナーを何度か担当したが、そんなパワーのある齢でもない。しかし、葬祭業に従事する若い人達に、悲しみの理解の努力に生まれる葬祭業文化の重要性と、プロの哲学だけは触れて欲しいと願っている。

社会でホテル葬がブーム。ややこしい人物がプロデューサーと称して暗躍しているとの情報もある。それらは、進展のプロセスに出現することも歴史が物語っている。残るのはいつの時代にも本物。価格破壊の社会状況の中、本物だけは眩しい光を輝かしている。

弊社が加盟する日本トータライフ協会のメンバー企業。彼らは、そんな輝きを「魅せる」匠達でもある。
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