2006-08-14

平和を願って  NO 1597


  久し振りに会った友人だが、彼は「肺の病気の疑いがある」と2ヶ月ほど前に診断され、衝撃を受けて落ち込み禁煙していた筈。なのに喫茶店に入ったらいきな りプカプカ。「節煙モードに変更。肺もセーフだったので安心したよ」と涼しい顔。見るとニコチンやタールの少ないタバコに変わっていた。

 しかし「紫煙」は本人にも周囲にも「死縁」である。エアコンの風向きを確かめて席を替わってもらったら、「ごめん、悪い、悪い。禁煙していたんだな!」と申し訳なさそうに消してくれたが、そこへ近所の長老がやって来られて禁煙談議に。

長老は誰もが知るヘビースモーカーだが、7年前から他人のいる室内では絶対に喫煙されず、そのきっかけとなったのが夫婦で行かれたアメリカ旅行だったそうで、「文化人は人前で吸わないのだ」と宣言されてから、ずっと現在に至っている。

 テーブルの灰皿を見られて「ハイライトじゃないな?」とひとこと。長老も私が禁煙したことをご存じで、灰皿のマイルドセブンの張本人に向かって説教が始まったのだが、彼が「余り税金を払っていないのでタバコで納税を、なんて」と冗談を言ったら次のように返された。

「いいか、タバコの税金よりもタバコの害に生じる病気の医療費負担を考えてみろ。成人病の大半に喫煙問題があるだろう。高血圧、動脈硬化から胃潰瘍に十二指腸潰瘍、これなんて全部タバコが悪いことを体験した筈だ。なあ、久世君」

<ごもっともです!>と頷く私。長老は、私の肩を叩きながら上機嫌で運ばれてきたホットミルクを飲まれた。 

 因みに、私が20歳になった当時、我が国の男性の80パーセントが喫煙していたデーターがあるとのこと。それが30パーセントを下回る最近である。

 禁煙してから丁度5ヶ月を迎えたが、間違いなくウェストが太くなっている。味覚の変化や声質が変わったことも驚きだが、入院中に医師や看護師さんから言われた「喫煙の害」そして孫の顔を思い浮かべて禁煙街道を進んでいる。

 一方で、数日前、病院の待合室で読んだ本に<!>という一文があった。私が患って手術を受けた病気だが、アインシュタイン、司馬遼太郎、河野一郎さん達が「破裂」で亡くなられていたことを知り、未然に手術という自身の幸運を改めて感じている。

  そんな著名人達が登場されたところで脱線するが、人は、その人生の中で他人の年齢を固定記憶してしまっていることが多い。自分の青春時代に活躍していた著 名人などは特にそうなるようで、ふと思い出したのが石原裕次郎さんと美空ひばりさん。どちらも53歳で生涯を終えられ惜しまれてならないが、今や私の方が 年上になっているとはどうしても実感出来ないのである。

 葬儀という仕事の中で、よく似た話を伺うこともある。それは、喪主さんが仰る言葉だが、「亡き父は、生前に祖父が亡くなった年齢を超えてから変な気持ちだと言っておりました」ということ。

 明日は「終戦の日」である。戦争で若くして亡くなったお父さんがいっぱいおられた筈。寂しい人生を過ごされた奥様が80歳を過ぎられ、偲ばれるご主人が20代ということが何より悲しい。

 悲劇は時間を止めるもの。年月が流れても、死別の悲しみは瞬時にその時代に戻ってしまう。だから辛くて厳しいのである。愚かな争いがなくなることを祈念しながら手を合わそう。    ・・・合掌
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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