2015-04-17
幸運に恵まれて NO 4163
病院で手術が拙くて亡くなれた不幸な人があちこちで問題になっている。未熟な医師が手術を担当したことも問題だが、それを気付きな隠していた病院組織も最悪だし、手術に立ち会った看護師などのスタッフも「おかしい」と言えない環境を何より改善しなければならないだろう。
病気と寿命は別物という言葉があるが、こんな不幸を迎えた人達が余りにもお気の毒である。
それからすると今でも「この世」に存在している私は幸運ということになる。10回の入院の上に転院が2回あるので振り返るとびっくりだが、それだけ優れた医師との出会いがあったと感謝しなければならない。
今日は、6年前に入院していた病院へ行った。当時はかなり古い建物だったが新しく建て替えられたみたいで見違えるほど美観のある病院となっていた。
入院した次の日の暁方に震度4程度の地震に遭遇。病室の扉が勝手に開いたのでびっくりしたことを憶えている。
大病を患って立つことも出来ない状態だったの「ミシミシ、ガタガタ」という揺れを感じた時はどうしようと思った恐怖体験の出来事だった。
自分が感じた症状から大凡の病名は判断していたが、まさか声帯を損傷したり嚥下障害になっているとは想像もしなかったこと。病気には様々あるが「膵炎」のように絶食を強いられるのは辛いが、飲み込むことで誤嚥性肺炎の危険性があるので食べられないとなれば最悪で、それをリハビリでクリアするには大変な体験をすることになる。
幸いにして「味覚」を失うことはなかったので喜んでいるが、嚥下障害が治らなかったらどうなるの?と1週間に一度来室される大勢の回診の先生に質問したら、「最悪の場合は『胃瘻』というケースもある」と言われてピーンと来なかったが、随分してからネットで調べたら衝撃的な対処医療だった。
ご主人が「胃瘻」の状態になった奥さんの体験談が余りにも気の毒だった。定年退職したら全国の温泉に出掛けようと計画されていたご夫婦だが、退職されてからすぐに発病されて深刻な嚥下障害から「胃瘻」となり、出掛けられた観光地の温泉旅館でミキサーを持ち込まれ、夕食時の料理を全てミキサーで液状にして流し込まれるという悲惨な現実だった。
仮に海老の天ぷらだったとしよう。少し水分系を加えてペースト状にし、ご主人は奥さんの料理を目にしながら胃の中へ直接入れられるのである。
「胃瘻」については医療に関する法律に抵触する問題もあるので複雑だが、その道だけは避けられたのは幸運であったと思っている。
多くの方の葬儀を担当した歴史があるが、ご家族から拝聴した闘病生活には想像もしなかった事実もあった。
「主人はね、病室で自分の最期を悟ったみたいで、『ウイスキーの水割りが飲みたい』と言っていたのですが、息子や娘達と相談して看護師さんには内緒で飲ませたのです」
それは、ご本人の「心残り」の一つを解決することになっただろうし、ご家族の「心残り」にならなかった物語があるように思えた。
ガンの末期症状で激痛を緩和するためにモルヒネを処方されるケースが多いが、ある著名な医師が「患者さんの意識が朦朧とならないように配慮することも重要である」と説かれ、その理由として家族との会話が可能なようにすることで、「有り難う」「さようなら」のような看取りのひとときが生まれるからということだった。
今日の写真は過日に参拝した時に撮影した「那智の滝」を。