2003-11-20

心の隙間    NO 611

NHKの特集ニュースで、医療現場のミスについて報じられていた。

 ガン治療の際に行われる放射線照射だが、診断された医師がカルテに書き込んだ放射量数値の解釈が放射線技師の解釈と異なっており、副作用という医療ミスが11年間も発見できなかったということだった。

 その原因究明についての調査報告もあったが、医師の決定した数値は人体の表面でのもの。放射線技師が解釈していたのは、体内のガン細胞そのものへの数値であり、その差が副作用という悲劇につながっていたのである。

 取材を担当していた記者のリポートの表現に、互いの「思い込み」という言葉があったが、この「思い込み」は様々な世界でミスを引き起こす原因となっているようだ。

  交差点で停止した車に追突した知人が、「まさか、黄信号で止まるとは思っていなかった。突っ切ると思った」と後悔していたが、そんな身近なところにも多く 起き得る問題で、社内にも、私にも日常茶飯事のように発生し、それは、まるで人間の陥るエアポケットと言えるかも知れない。

 弊社の社員に教える三原則、それは、「羞恥心を持ち、仲間が恥ずべき行為をしたら自身の羞恥」「いつも『?』を持ちなさい」「プロは、いつも『イフ(もしも)』を考慮して」だが、「?」と「イフ」は、勝手な思い込みによって全く役立たないことにもなる。

 思い込みとは人間の習性であるとの観点を理解し、二重、三重にミスのないようにガードしたいものだが、ミスをしてから対策やマニュアルがつくられるもので、この繰り返しも人間の歴史。

 私の好きな言葉に「プロは反省するが、後悔はしない」というのがあるが、それは、それだけの準備と心構えをもって臨むという意味であり、深慮なくして「案ずるより生むが易し」という結果にはつながらないだろう。

最近、医療現場でのミスが多く報じられているが、人命にかかわることだから真剣に取り組んでいただきたいもの。

そうかと言って、我々葬祭業も絶対にミスの許されない仕事。謝罪しなければならない相手がこの世におられないという問題がある。

「亡くなった母が悲しんでいると思います」なんてご遺族に言われたらお終い。一生苦しんで後悔することになってしまう。

 大きなミスとは、小さなミスの積み重ね。人間とエアポケットは一対のもの。ミスは心の隙間に発生する。くわばらくわばら・・・・
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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