2003-11-14

つぶやき     NO 605

今日の葬儀を担当してきたスタッフたちが、遠方のお寺で行われる文化祭の準備の積み込みをしている。

 このお寺様は、毎年、檀家さんたちの趣味の作品展示会を催されており、約1週間の開催中は多くの檀家さんがやって来られるが、年々に展示物が増え、創作される方々の思いの熱さも感じている。

 一方で、明日、私はお寺様のご法要に参列する。東京からもご親戚のお寺様が来阪されるそうだが、この中に音楽に造詣深い方々がおられ、ホテルで行われる「御斎」では、「慈曲」の作曲者にお願いし、彼女の素晴らしい演奏をお聞きいただく趣向となっている。

 ある大規模な祝賀会で司会を担当し、上述のお寺様たちの歌を拝聴したことがあるが、あまりにも上手すぎて、主催された方に「プロみたいですね」とお話したら、「プロですよ」と教えられてびっくり。学生時代からハワイアバンドを結成され、かなり著名な存在だったそう。

 それから数年経った頃、また、祝賀会の司会を担当したが、この時、打ち合わせの段階で「ギターを2本用意してください」と言われ、私のギターと友人から借りた物を用意した。

 そこで歌われた歌、それは未だに強烈に残っている。ラテンの名曲「ベサメ・ムーチョ」で、<やはりプロ>という世界を体感したことが懐かしいが、私のギターが安物で、非常に恥ずかしかったことを鮮明に覚えている。

 明日の御斎、法要の後だけに、「思い出を形見に」というような音楽の活用につながったらと思っている。

 さて、そのお寺様に打ち合わせに参上し、近くのお寿司屋さんでご馳走になったが、その帰り、乗ったタクシーの運転手さんから身の上話を拝聴することになった。

 彼のお母さんの家、ローンが完済した途端に隣から出火、全焼する被害に遭われたそう。火災保険に入っておらず、近隣の人から焼け残りの後始末を早くしろと迫られて困っているとのこと。 

 「損害賠償を請求出来ないのでしょうか?」と質問されたが、中途半端な対応をするべきでないと考え、弁護士に相談されるのがベターというアドバイスをしておいた。

  世の中には、不条理な出来事が少なくない。基本的な情報ならインターネットで調べられるが、法律に関することならやはり弁護士。「餅は餅屋」の格言のよう に、遠回りは時間の無駄。何でも専門家に相談するのが早道だが、専門家にも善悪が存在するのも世の常。その選択には知識よりも知恵が必要な思いを抱いてい る。

 そのタクシーに乗っている時、知人から電話があった。奥さんが受けた大手術の結果が芳しくなく、その際には頼むという悲壮な内容。それを聞かれていた運転手さん、「世の中、不幸なことが多いのですね」と呟かれた。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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