2002-03-27

参りました・・・それは、ないでしょう!!

一昨日、東京からテレビの取材がやってこられた。
番組は平日の夕方から放送されている「木村太郎さん・安藤優子さん」の<FNNスーパー・ニュース>だそうだが、今回の取材の目的は、オリジナルCD「慈曲」の作曲で話題を集めておられる「美濃美鈴(本名・・高橋美鈴)」さん。

「葬儀音楽に魅せられた女性」というタイトルの特集で、CDの監修を担当した私にも出番が回ってきたということです。

彼女の自宅にあるスタジオで、演奏者への指導の模様を撮影後、実際の仕事の現場であるホテルで、葬儀の始まる前に行なわれる、私との音楽シナリオの打ち合わせ風景を撮影された。

 その後、葬儀に於ける演出音楽の重要性についてのインタビューを受けたが、「大切な方」の「大切な儀式」に「大切な宗教者」を迎える環境づくり。つまり、会場空間を儀式空間として「神変」させることの重要性と、故人愛唱歌のご要望の多さを語らせていただいた。

 撮影された映像は当然、編集され、大半がカットされてしまうものだが、インタビューの中で面白い話に進展したので報告いたします。

 それは「故人の愛唱歌」についての問題で、彼女の瞬間的な編曲力のパワーを力説していた中で発展し、次のような会話が交わされた。

 「この曲は、絶対に流すべきではない。式場の雰囲気を壊す。そんな場合はどうするのですか?」
 「さりげなく曲を変更いただく方向へ説得します。しかし、ご遺族が<絶対>という場合には、その旨をコメントで紹介してから流します」
 「これまでの経験で、これは困った。とんでもない曲だと思われたのは?」
 「コーヒールンバです。故人が西田佐知子さんの大ファンで、いつも歌っておられたことから、どうしてもとご要望されたのです」
 「コーヒールンバ、それをお葬式の中で演奏されたのですか!? 皆さん、さぞかし驚かれたでしょうね?」
 「彼女と前日に打ち合わせをしたのですが、<お任せください。コーヒールンバのレクイエムバージョン、可能です>と自信たっぷりに答えられるので、お任せしました。でも、本番前には確認のために聴かせていただきましたが」
 「それで、どうっだんです?」
 「葬儀が終わった後、ご遺族に大満足のお声を頂戴することになりました」

 リポーターと私の上記のやりとりが終わった後、6人おられた取材スタッフ全員が、どうも信じられない様子で、やがて、一人の女性の方が「聴かせていただけませんか?」と手を合わすような仕草で彼女に懇願された。
 そして、すぐに、もの凄くアップテンポなコーヒールンバの演奏が始まった。
 
続いて、いよいよレクイエムバージョン。注目を一心に集め、シンセサイザーの音色が流れる。完全なクラシックイメージ。
曲が終わった。しばし静寂の後に、全員の拍手が贈られた。

「凄い。凄いわ。別世界。そんな感じ」

 若い女性らしい言葉表現での賛辞であったが、その裏側でディレクターは「さすが」という行動をされていた。カメラマンにこの演奏の光景を撮影させていたのである。

 やがて、収録が終わったが、そこでショックなことを知ることとなった。放送は今月中だそうだが、我々の部分が放送電波に乗るのは東京を中心とする東日本だけ。大阪では見ることが出来ないのです。
   ・・・・・参りました・・それは、ないでしょう!!
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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