2013-08-03

社会は動いている


 NHKのテレビ番組で「終活」について特集、エンディング・ノートが30万部売れていると伝えていた。

  出演していたあるコメンテーターが「本人の遺言のような記入でも、時には『落とし穴』のような問題が秘められている」と指摘されていたが、最近の「終活」 という言葉が流行する背景に、隙間産業の世界でビジネス的な嗅覚で登場して来た組織団体もあり、今後に様々な問題が起きるような懸念を抱いている。

 エンディング・ノートにご自分の葬儀の「ありかた」を遺言のように書き記すことにとやかく言う気はないが、ご自分がどのような終焉を迎えるかを考えるべきだと提言したい。

  病院で大切な家族に看取られながら静かにこの世を出立することもあろうが、事件や事故に巻き込まれて被害者になってしまうこともあるかもしれない。そんな 想定まで考えられることはないだろうし、そんなケースでは記述された「ありかた」通りの葬儀を進めるには問題があることになる。記述される内容には、あっ て欲しくないことだが、様々な想定に備えてシナリオを描くべきだとアドバイスを申し上げる。

 これらに関してセミナーや講演会が頻繁に行われているが、中には葬儀ビジネスの囲い込み戦略を目的に行っているケースも少なくなく、冷静な判断が求められるのも重要である。

 最近に多い「家族葬」でも、簡単に考えて実行され、終わってから家族で後悔されていることも多い事実を知られ、その背景にある「落とし穴」を学んでおくことの大切さをご理解いただきたいと願ってしまう。

 病室のベッドで寝ていると困るのが腰が痛くなること。これは体験されてみないと理解出来ないほど辛いもので、電動のリモコンで頭部を持ち上げたり足の方を動かして「カインド」状態にしたりするのだが、腰痛は酷くなるばかりである。

 朝、検温に来室された看護師さんが蚊が飛んでいるのを発見、その時はすでに左腕を刺されていたが、知覚が麻痺している側なので痒みは感じなかった。

 耳元でブーンと音がするだけで眠れなくなる性格、妻から電話があった際に電気の蚊取り器を持って来てくれるように頼んだ。

 病室は12階である。なのに蚊がいるとはびっくり。エレベーターで上がって来たとしか考えられないが、午後に見舞いに来てくれた人物が発見して解決してくれたのでホッとした。

 過去に同じ病気になった九州の友人に電話。退院してからの食生活などのアドバイスを求めたら、わざわざ新幹線に乗って見舞いに来てくれたので恐縮した。

  過去の「独り言」で書いたことがあるが、千葉県にある病院がオープン当時から話題になり、近隣にマンションが次々に建設され、中高年の方々が倍率をアップ させているそうだ。その病院だが、患者に対する情報公開を部屋にセットされたパソコンでオープンにしており、家族や見舞客に対する食事のルームサービスま で対応しているそうだし、全国から高レベルの医師を集めたことでも知られ、最後を迎える時はこの病院だという会話も交わされるようになっている。

 この病院のコンセプトに賛辞したのが霊安室に対する発想。大半の病院が地下に存在しているのに、ここでは最上階の海が見える部屋で天国に一番近い考え方もあるそうだ。

 知人が依頼されて関西で「病院のリッツ・カールトンを」と取り組んで話題になったことがあった。キャッチフレーズが「退院したくない病院」だったが、大変な苦労で何とか成し遂げた出来事も知られている。

 どんな世界にも固定観念に捉われて「昔からこうだった」と考えていると「化石」みたいになってしまう時代を迎えている。今回の入院は、私に考えさせてくれる時間と環境を与えてくれたのかもしれない。白い天井を見詰めながらそんなことを思っている。
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