2002-03-17

コンサルタント「セールス」

葬祭業に従事する人達の休日は不規則だ。お客様に直接接することのない大規模葬儀社の管理職以上を除いて、これは各社同じであろうし、私のように自身がプロデュースと司会を担当するとなれば、「年中無休です」と言っても許されるだろう。
 
毎日、出社すると多くの「アポ」の確認が入っている。時間を重要視する仕事で、限られた範囲内でのアポ対応、それは至難の問題であり、私の苦痛のひとつでもある。
 最近は、協会や弊社HPからの申し込みが多いことに特徴があり、今後もますます増加することを覚悟している。

数日前、興味ある「アポ」にOKを出し、来社された方のお話しに衝撃的なことがあったのでご披露させていただく。

 葬祭・消費者コンサルタントと自己紹介されたその人物は、葬儀に関する社会リサーチをプレゼンされる中で、将来に求められるであろうユニークな商品の提案と販売を目的とされていた。
 商品には全く期待を感じなかった私は、その人物が分析されたという「消費者ニーズの動向」というテーマに興味を持った。
 それは、次のようなことだった。

※ 葬儀に対する消費者の知識は「無」に等しく、「損得」だけで行動する傾向が強く、冠婚葬祭互助会は「得」のイメージをビジネス戦略として展開し、発展して きた。しかし、情報社会の中で、それが結果的には「損」という実態の暴露がされつつあり、そのキーワードは、互助会システムが保険ではないということにあ る。つまり、保険のように、いざという場合には、何倍にもなってサービス提供が受けられるという戦略が、掛け金に利息すら付加されないという現実に気付か れ、自らの首を絞める結果を迎えた。

※大規模な葬儀会社や互助会が提供されるマニュアル化されたサービスへの抵抗感が強く、今後の凋落が確実に見える。

※葬祭業界全体で囲い込み戦略が始まっており、その大半が保険や共済によるシステムビジネスだが、銀行や保険会社が倒産する時代の到来にあって、いつ崩壊するか分からない危険性には消費者離れが生じることが確実。

※雪印さん事件に顕著なように、企業の暗部、恥部の社会告発的な行動が発生した場合、人の死に関する産業である葬祭業は「怒り」の度合いが強く、転落の道を辿れば完全に立ち直ることが出来ない。

※病院との癒着を戦略とされている葬儀社は、社会に発生するであろう抵抗感に、脆く崩れる危険性を秘めている。なぜならば、病院側は、ある日突然に「利益」より不名誉にならない選択をするからだ。

※ 生前契約が流行しているが、大きな落とし穴がある組織の存在がある。いずれ、大きな社会問題に発展するだろう。 

<この人物は、本当に業界を研究してきている> そう思った私は、商品販売だけの目的で調査をされたのかを訊いてみたが、最近の新聞記事に触発されたことを正直に吐露され、それが商品販売の有力なパワーとなる彼の苦心の知恵であることを知るところとなった。

  葬祭業の21世紀のキーワードは「愛」と「癒し」、その実践を目指す協会の存在と弊社の企業理念を大いに讃えてくれた彼の言動に、思わず商品購入をしてし まうところだったが、冷静に考えてみれば、HPに表記された言葉を脚色されただけのことに気付き、購入することはなかった。

しかし、彼の懸命なプレゼンテーション、そこで分析されていた論文的な説得方法、それは見事なテクニック。数日の時の流れに納得をする自分に気付く今日の日である。
コンサルタントさん。貴重な情報、有り難うございました。
 <購入しなくてごめんなさい>
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