2006-04-22

教えてください?  NO 1483


 入院手術という体験をしたからだろうが、病気に関する新聞記事やテレビ番組に目が留まる。

 我が国でガンと闘う患者さんの数が300万人だそうで、末期医療を前提としたホスピスや緩和ケアを目的とするベッド数は3000程度しかなく、ガン患者難民という言葉が生まれていると知って寒々しい思いがした。

 一方に延命措置に関する問題が表面化、立法を含めた患者の権利について論議が交わされている。

 30歳過ぎの遠い昔に「お葬式と春夏秋冬」の愚書で上述の問題に触れ、立法化されるなら「尊厳死を認めないで」と書いていたが、今回は様々な分野の専門家達の意見が入り乱れ、何やら本質から離れてしまっているような気もしている。

 元気な時の考え方と、実際に末期症状と対峙した思いは異なるパーセンテージも高いだろう。机上の議論だけで立法化されることに大きな問題があると提起したい。

 さて、今日、私の大好きなお寺さんと1時間ほどお話しが出来た。彼は仏教青年会で大活躍されていた歴史があり、現在は青年というよりも壮年と呼ばれる年代である。

  長いお付き合いの中で初めて教えていただいた昔話、大学時代に500日間の入院体験をされており、そこで一人のお年寄りとのさりげない会話から大切なこと に気付かれ、それは宗教者としての道に大きな影響を与えられることになった出来事。拝聴しながら感動し、彼の素晴らしい人柄の源流を学ばせていただいたひ とときとなった。

 彼の趣味は「書」の世界、何度も中国各地に出掛けられて研究されているが、「七万歩才あの世の旅」を発刊してからしばらくした頃、「これ、お土産です」とプレゼントされたのが篆刻の作品、中国らしい石に「七万歩才」という独特の文字が彫られていた。

 人生の中で感激したプレゼントが幾つかあるが、これも最たるものだし、不思議なご仏縁というのだろうか、偶々昨日「篆刻を始めました」という北国の女神からのメールがあり、彼女が恵贈くださった「六瓢潭」や「鶴」の創作物に手を合わせていた。

  人生の何よりの宝は素晴らしい人との出会い、今回の入院でそのことを改めて再認識した。もう手術なんて懲り懲りだが、華甲の齢を前に貴重な体験をさせてい ただいたよう。私に「萌え」という文字はお笑いとなろうが、第二の青春時代を謳歌するにはこの文字もちょっとぐらいは入れたい気持ち。

 今日の結びに「変なオジサン」の素朴な疑問を。誰でも手足の切り傷に「塗り薬」を付けるが、腹部を手術した傷にどうして塗り薬を付けないのだろうか。退院してからずっと不思議に思う謎である。
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