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2005-08-13

本物の音楽  NO 1239


 日航機の大事故から20年、事故現場での慰霊に多くのご遺族の方々が集われたようだが、朝から<お天気に恵まれますように>と願い犠牲者の方々の存在に手を合わせた。

 犠牲者数人の方の葬儀を担当申し上げたが、その内お2人は、どちらも弊社から車で10分ほどの会社。お1人は私と同じゴルフ倶楽部のメンバーだった。

 事故のニュースを初めて知ったのはテレビのテロップ、一瞬固まって釘付けになってしまったことをはっきりと覚えている。

 お盆ということもあり素晴らしいゲストを迎えたコンサートを組んでいたが、友引の日の今日、ご葬儀が同時間に重なり、スタッフ達も大変だった。

専務が今日から九州出張。飛行機嫌いの私と全く異なる性格で「飛行機ほど安全な乗り物はない」と空港へ向かったが、夜のニュースで福岡空港を飛び立った飛行機のアクシデントが報じられ驚く。

さて、悲しい葬儀、友人の方々がご多数参列された。ご出棺前のお別れ時間をゆっくりと進め、他の葬儀社では絶対に行うことのない「供養と功徳のひととき」を組み込んだ。

 その目的は残された奥様と幼い子供さんの将来を願ってのこと。ご親戚以外に20名ぐらいの人達もご参加くださった。

 葬儀式終了時の謝辞、打ち合わせで私が代行ということになったが、僭越この上ない説教型バージョンに。人生で出遭う衝撃として交通事故、病気などに触れ、子供の死と伴侶の死の悲嘆についてお話申し上げた。

 こんなことを謝辞や挨拶で伝える司会者なんていないと断言するが、それも葬儀に携わる立場の大切な使命だと確信している。

 火葬場往復の車中、導師を務められたお寺様のお人柄が話題に。「やさしいお方で救われました」のお言葉が何より。

開式前の打ち合わせでご住職の年齢を伺ったら、終戦の年の大阪大空襲の時にご誕生されたそう。「防空壕の中で生まれたのです」とおっしゃられてびっくりした。

 夜のコンサート、冒頭で日航機事故のことに触れてからスタート。ラテンとタンゴの名曲を拝聴したが、音響と照明を独りで担当、何とか無難に進められてお疲れモード。

 お盆で<お客様が少ないのでは?>と予想していたが、準備していた椅子席はほぼいっぱい。サイドに置かれた椅子にお座りなった方もおられた。

 全曲が終わりアンコールの前、ちょっとお喋り。ヴァイオリンの長野昭子さんにオネダリをした。

 音響システムを停止させ「生の音色を」とお願いしたら、やさしいご表情でタイスの瞑想曲を奏でてくださり感動。「これがヴァイオリンの音だ!」と皆さんもお喜びくださった。

 昔、歌劇の幕間に演奏されたこの曲、歌劇よりこの曲が有名になった秘話を披露申し上げたが、彼女はお帰りになる前に「突然でびっくりしました。チゴイネルワイゼンとどちらにしようか迷ったのですが」と裏話。

 今日の悲しいご葬儀や犠牲者追悼のことからすれば納得の選曲、心から感謝しながらお見送りした。
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