2015-02-08

顔 施  NO 4098

布施には「財施」「法施」「無畏施」の三施が知られるが、ダーナという梵語から旦那という言葉にもつながり、お寺へ布施という行為をする立場を「檀家」と呼ばれるようになった歴史もある。

大手物流業者が葬儀の紹介ビジネスを展開、ネットの広告で目立っているのでご存じだろうが、HP内に「お布施」の「目安価格」と表記して物議になった出来事があった。

全国で契約に応じたお寺が600もあったそうだが、仏教会から異論が出て、いつの間にかHPから削除されてしまっていた。

お布施に価格は決まっていないというのが仏教会の考え方で、そもそも契約に参加したという600のお寺さん達がおられることに衝撃を受けたが、阿弥陀経なら幾ら、観無量寿経なら幾らと決まっていないし、冒頭に書いたような布施の本義からすると「目安価格」という発想がおかしいことに気付く筈である。

昔、ベストセラーになった冠婚葬祭の書物があった。この中で著者が「読経料」と表記していたことから問題になり、誤表記していたと謝罪したことが話題になったこともあったが、これも同じで前述の物流グループが葬儀の紹介ビジネスを展開する際に専門家が存在しなかったことが表面化したようで、さすがにスーパーらしいと思った出来事だった。

ネット社会になって様々な分野で紹介ビジネスが増えた。ホテルや旅館業界にはいっぱい登場し、ネット検索で旅館名を打ち込んだら、トップページはすべて紹介ビジネス会社ばかり。2ページ目でやっと発見したら「公式」という表記があり、開けてみたら直接予約したら特典があると記載されているところが多い。

ホテルや旅館の口コミサイトには様々なクレームやお礼の言葉が集まっている。利用客がクレームを書き込んだら、旅館側が反論しているケースも少なくない。ある旅館の反論に次のような文章があった。

「ネットの紹介会社から1万円で宿泊されると、25%の紹介料が必要なのです。実質7500円で夕食と朝食をセットし、お部屋と寝具を提供して温泉をご利用いただくのです。これでご不満があればどうにもなりません」

こんなやりとりから炎上に発展して話題を呼んでいるケースもあるが、口コミサイトの中に意図的な「なりすまし」ということも増えており、情報把握に関して真贋判断のスキルアップも重要となっている。

我が国のホテルや旅館では「おもてなし」という言葉がホスピタリティのキーワードになっているが、これも「布施」の精神が秘められており、ここに「顔施」と呼ばれる世界もある。

我々の葬儀という仕事にあって「顔施」という行動は微妙であり難しい。重視することは一生懸命に接していることだろう。

さて、囲碁の棋聖戦第3局が尾道市で行われていた。会場は「西山別館」だったが、尾道では知られる旅館である。6日に勝敗が決したが井山棋聖が山下挑戦者を破り、これで3連勝の結果となり、次回の犬山市での対戦が予定されている。

ネットで棋譜を見ることが出来るが、やはりプロの世界は凄いものだと実感する。

今日の写真は碁盤だが、足は「クチナシ」を模り、見物の外野に横から「口を出すな」という意味の説もある。有名なのは我が国の皇室の慣例だが、七五三に碁盤の上から南の方角に飛び降りるという「深曾木の儀」があり、右手に扇、左手に山橘を持つそうだが、皇太子殿下ご兄弟も行われているが、その時に使用された碁盤は1964年に日本棋院が寄贈したものだそうだ。
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