2006-02-20

人生のページ  NO 1431


 私が行く銭湯は人気が高く、遠いところからのお客さんもやって来る。温めの湯船で過ごしていると、いつもお世話になっているお医者さんと会い、続いて昨夜の会合でカラオケ担当幹事として奮闘してくれた酒屋の大将もやって来た。

「皆さん、達者だなあ」とカラオケ談議、彼は「河島英五」さんの曲を上手く歌っていて印象に残った。

 さて、触れたくない話題だが、葬儀費用が工面できないと、亡くなったお母さんの遺体を砂浜に埋葬していた事件、また年金が貰えなくなるからと、お婆ちゃんの遺体を家族で庭に埋葬していた事件が過去に報じられていた。

 敢えて「埋葬」と書いたが、こんな場合には、はっきりと言って「葬」の文字を外すべき。しかし、その背景に人の世の気の毒な寂しさ、悲しさが漂っていると思う人が少なくないだろう。

 また、お母さんの立派なお墓があるのに、お父さんの遺骨がロッカーに納められていたケースもあり、墓地の管理費が未納だったからという動機にも驚いた。

 一方で、園児2人が殺害された衝撃の事件もあったが、社会は間違いなく「病んでいる」ことは事実。地球上に生活を営む人間社会の抜本的な手術と治療に着手しなければ、未来は真っ暗という危機感を共有したいものである。

「あなたにとって、幸せだったページはどれほどありますか?」
「あなたにとって、不幸だったページはどれほどありますか?」

そんな問い掛けをしてみたいが、それぞれのページをこれから増やすのは、その人の行動が成すべきもの。そこに過去、現在、未来という言葉が浮かんでくる。

「あなたにとって、最も幸せだったと思える出来事は何ですか?」
「あなたにとって、最も不幸だったと思える出来事は何ですか?」

 人は、誰でもそんな体験を経て今日に存在している。でも考えたいことがある。

「あなたは、誰かを幸せにしたことがありますか?」
「あなたは、誰かを不幸にしたことがありますか?」

  過去を振り返れば、誰でも後悔していることがいっぱいある筈だ。私なんて数え切れないほどあるし、気が付いていないことも山ほどあるだろう。でも、今、誰 かを幸せにしようとする行動を少しでもやらなければと思っているし、不幸でないようにして差し上げたいと、そして、不幸なら和らげることが出来ないだろう かという目標を有している。

 それは、自身の幸せのページを増やすこと。そんな思いに目覚めたのは孫の誕生から。だから娘家族に心から感謝している。

 社会は無関心の時代だそうだ。遠い将来のことを考える人がどんどん少なくなっていると書かれてあった。1日の半分は夜である。空に月があり、星が見え、宇宙の存在を教えてくれる。昼間を照らしてくれる「お天道様」の存在に気付く人が少なくなっているみたい。

 昼間、会社の部屋でシナリオを打ち込んでいる時に音楽が聞こえてきた。「雪やこんこん」と「たぬきばやし」のメロディーで、どちらも灯油販売の車のスピーカーから流れ、大音量のセールストークが騒がしい。

夏になれば「ワラビ餅」の販売カーがポールモーリアの曲を流している。それらは、ただ喧しいだけで情緒がない。こんなビジネスにクレームをつけない社会の空気もおかしいのかも。

 だから姉歯事件のようなケースが起きるのだろう。私の幼い頃、ロバのパン屋の販売カーが街を巡回していた。正しくは「カー」ではなく「ロバ」が引っ張っていたのだが、そのメロディーは何となくやさしく心に残っている。そんな「郷愁」が葬儀の場に大切なこと。

 あれから約半世紀、我が国の人の心情に異変が生じているよう。郷愁とは「心の故郷」その人のよい思い出のページなのである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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