2003-11-05

哀  愁     NO 596

今日の葬儀、お孫さんやご家族のメッセージが15名様分もあり、12名様のものを女性スタッフに任せることにした。

 ナレーションと合わせて8分40秒となるが、前半4分は彼女の世界。朝から創作した原稿でテストを数回行った。

 したためられたメッセージの代読で難しいことは、それぞれの方のイメージを伝える工夫。カギカッコをうまく区別し、12人なら12人が語っているようなテクニックが求められる。

 声の強弱の変化、また、音声スタートの「キー」を5種類ぐらい変え、一人ずつだというイメージを伝える高度なテクニックを要するが、本番が終わり帰社してから「自分で何点だった」と聞いてみると、「70点ぐらいでしょうか?」なんて言っている。

  本人がそう言うのは「何とかうまくいった」という思いだろうが、やっと原付から自動二輪の免許取得に至ったレベル。これから普通車、大型へと挑戦し、出来 たら「二種」と「特殊」まで到達して欲しいと願っているが、リハより本番の方がよかったことは確かで、堂々と「やっていた」ということは評価している。

 さて、明日は私の吹き込みの日。すべてを音響のプロの器材で録音するが、スケジュールの都合で夜に行われることとなり声の調整が重要で、今晩の夜食やアルコールは一切自粛。明日に備えている。

 つい先日、私の友人が隠れ家にやってきた。彼の知人が入院中で、医師から余命は年内との宣告を受けたそう。Xデーを迎えたら、彼が葬儀委員長をしなければならないということで、密葬と社葬についてアドバイスを求められた。

 そんな中、ホテル葬という提案に興味を抱き、私がこれまでに担当した全国でのホテル葬の映像を見せた。

 「これ、いいわ。決定」

 それですべてが決まった訳だが、続いて、私が気にしていることをはっきりと言われてしまった。

 「おい、映像は年齢に正直なものだな。早く、お前の代わりを育て上げなければいかんが、難しいな。これは、お前だけの世界だわ」

  彼は、昔から私の司会に対する哲学を評価してくれていたが、ホテルでの無宗教形式の世界を見たのは初めてのこと。そこでの司式バージョンに偉く感動するこ とになったが、それは、私の歴史と年齢でしか出来ないことをすぐに見抜き、分析したような雰囲気で次のように言った時、我々二人に哀愁を感じさせる無言の 時間が流れた。

 「こんなの、誰も出来んわ・・・」
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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