2003-05-19

厳しい現実    NO 434

全国的に葬祭式場が続々と建設され、これからもどんどん増えてくるだろうが、一方で経営が厳しく銀行管理になっているケースも少なくない。

 今年になってから数件の葬祭式場から電話が入り、考えさせられる実態を知るところとなった。

 高齢社会到来という単純な発想で、「葬祭業は成長産業ある」と行動された異業種の方が葬祭式場を着工され、地元の葬祭業者に経営を委ねたところ完全に凋落。その原因として分析されたのが「ソフト」の欠如。
「すべてを任せるから建て直しを」と弊社のオリジナルソフトの導入を要請された。

 そこは車で1時間ぐらいのところ。弊社のサービスシステムの高い評価をくださったが、明日からのビジネスという焦りを感じ、鄭重にお断わり申し上げた。

 また、これも異業種の方だが、本業の将来の見通しが暗く、リストラするべき社員10数人をスタッフとして、社有地に葬祭式場を建設したいというお話があった。

 取り敢えずトップの方とお会いすることにしたが、スタッフは全員がもうすぐ定年を迎えられるという方々ばかりで、それぞれの方が「葬儀社なんて嫌」との姿勢。それでは絶対に無理ですと保留している。

  一方で、大手銀行の役員さんからの要請で興味深いものがあった。この銀行がバックアップされている有名なホテル。そこでの社葬や偲ぶ会の評判が悪く、総合 プロデューサーとして招聘したいとのお話。それは、大変名誉なことではあったが、<残念ですが>と条件付でお断わりすることにした。

 そ のホテルは、契約されるフラワー会社とホテル側だけの利益を考えて構築されたサービスシステム。会場の提供と食事のサービスという当たり前のことを売り物 にしている状態。これではお悲しみのお客様に対するホスピタリティサービスは絶対に無理。何より体験されたお客様の悪評に対しての羞恥心が欠如する姿勢が 致命的。

「総支配人の意識改革と担当責任者、フラワー会社を変える覚悟をしてくだされば」というのが私の条件だが、本気で進むなら行動されるだろう。

 しかし、<さすがに超一流ホテルだ>という礼節を感じたホテルもあった。私を専属プロデューサーとして迎えるための準備をされ、期日までのスケジュールを作成され、私が「三顧の礼」の言葉を思い出すような姿勢を示されたのだから驚嘆した。

 「全国のホテルの仏事サービスを調査しました。全国の大手葬儀社のサービスレベルも調べました。当ホテルの求めるものはありませんでした。プロジェクトチームが全員一致で結論に至ったのはあなたでした」

 そんな嬉しい言葉に「やらなければならない」「プロの冥利に尽きる」と思ったのは言うまでもない。

 ホテル業界の現況の低次元な仏事サービス。それらが急変することもそう遠い話ではないような気がしているが、今の愚かなドライブスルー形式の社葬サービスを続けていると、近い将来、確実に社葬そのものが行われることがなくなると断言する。
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