2003-05-12

フィクション 冠婚葬祭互助会 ②   NO 427

会員数が数千人という規模の互助会だが、「破綻」や「倒産」という記事は業界のイメージダウンが強く、他の組織にも会員獲得への影響と解約の行動につながる危険性を孕んでいる。

 そこで進められた方策が「吸収」。会員を振り分けて「弊社の会員として登録しますのでご安心を」という対応。

 しかし、これは現在の経済状況で言われている不良債権の増加となるが、進展にに向けての止むを得ない行動であった。

 そんな経営破綻は、その後も発生。その度に上記の対策で乗り越えてきたが、会員数が膨大な組織の破綻を吸収するパワーは、徐々にダウンするのは必然。吸収した自社側の負担が余りにも大きいからである。

 破綻会社の会員で掛け金の「満期」を迎えている人達が多く存在しており、会員の権利の遂行という責務を負ったが、これらは婚礼や葬儀の実行の際、何らかの追加金で賄うことも可能であり、危険を承知で踏み出した事実もあったようだ。

  互助会ビジネスで何より積極的に取り組んだのは会員の獲得。そこで勧誘員の募集を大々的に行い、獲得手数料を高額に設定し、彼らの知人や縁者を勧誘するこ とが始まったが、知人、縁者に限界を迎えると、会員の契約が取れない勧誘員は次々に離れるのも常識。それらは、大手の保険会社のシステムにも類似してい た。

 結婚と葬儀という非日常的なことは、消費者にも高度な知識はなく、ちょっとした見出しや勧誘言葉で勝手な思い込みをしてしまうもの。

 世に登場した頃のキャッチフレーズ「3万円で結婚式が」は、勝手に披露宴まで想像させるパワーがあり、その効果を倍加させるのに「互助会」というネーミングが拍車を掛けてくれた。

 さて、あちこちに結婚式場や葬祭式場が建設されて来る時代を迎えた。それらは、掛け金で安く挙式や葬儀が出来る謳い文句に生じていた「羞恥心」という抵抗感を払拭させるに至る。

 そんな中、世の中には知恵者が存在するもの。そんな当時に、将来の危機管理の対策として式場の名義を組織と切り離していたところもあるのだから素晴らしい。組織が崩壊しても建物でのビジネスが可能という「保険」を掛ける経営者の知恵である。

 発足して10数年は、婚礼で利益が生まれ、サービス提供の比率も葬祭を大きく上回っていたが、それらのバランスに変化が生まれる。高齢化と少子化の到来である。

 今、婚礼の赤字が組織の足を引っ張る「お荷物」になる様相を見せ、葬祭への依存性がいよいよ高まってきている。

 掛け金は契約コースにより異なるが、数年で満期となるシステムが大半。当然、社会の物価の変動も生じるが、それらは、社会背景を説明して追加金という方策で対応しているが、予期せぬ問題が持ち上がってきた。

 後はご想像にお任せするが、非日常的な冠婚葬祭というものが消費者の知識、認識変化につながったことは望ましいことではあるだろう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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