2003-09-15

儀式にパックとは失礼だ     NO 547

数日前の新聞の人気4コマ漫画に、「オーダーメイド」をテーマにしたものがあった。
 
「生涯、既製品で通した人生」 「オーダーメイドは1回だけ。それは、入れ歯」
 そんなストーリーだったが、この漫画を見て思い出したことがある。

 これも数日前だが、テレビで葬儀のことが放映され、その中で「葬儀もこれからの時代は、ビジネス戦略で全国展開」なんて、若者が発言していた。

 その人物、地方の葬儀社の後継者だそうだが、「親父が古いので・・・」というコメントもあった。

 この若者、弊社が加盟する日本トータライフ協会の若いメンバーたちとは、180度考え方が異なっている。

 メンバーたち誰もが「そんな考え方」を否定している。なぜなら、冒頭のオーダーメイドではないが、人生最後の大切な儀式を、「建売住宅」を販売するような姿勢で接してもらいたくないということ。

 「既製品ばかりの人生でした。そんな父を、最後にオーダーメイドで送りたいのです」

 弊社のお客様には、そんなお言葉が多く、「次の方、ご案内」というようなビジネス感覚はまったくない。

 家を建てる時のことを考えてみたい。家族の背の高さは? 家族構成は? 交際範囲の大小で応接スペースも? 将来は核家族? 2世帯の予定は? バリアフリーは?

 中には、「風呂だけを立派にしてくれ」とおっしゃるケースもあるだろう。

 それを業者側のペースで勝手に組み上げた「建売型」では、絶対に満足に至ることはない筈。

 今、葬祭業界に、そんな低次元な発想でビジネスに走る組織が増えてきたが、いつの間にか消え、また、名称を変えて行動しているケースも目立っている。

 葬儀に無駄な経費を掛けることは愚かなこと。虚栄も限度を超えると嘲笑される。だが、業者は煽ってもブレーキを掛けることはしないもの。

 こんな建売型システムの葬儀、その裏側に「無駄」が秘められていることを知るべき。考え方によれば、「10万円です」と言っても高い買い物。それだけの値打ちがないから。

  当協会のメンバーには、「手作り葬儀」の名人が多い。高知県の「おかざき葬儀社」、東京の「杉田フューネス」「井口葬儀店」、北海道の「室蘭市民斎場」 「苫小牧市民斎場」、九州の「落合葬儀社」、神戸の「公詢社」などもその仲間だが、他にも多くのメンバーが存在し、彼らは人生最後の儀式に対して真剣に取 り組み、「ビジネス」なんて発言したら除名される非営利組織。自身の仕事に誇りの持てないテレビの若者を哀れに感じていただろう。

 葬儀は、最後の親孝行の機会とも言える。そんなチャンスにセットやパックとは申し訳がない。そんな思いも弊社の理念。パックやセット料金は、業者に都合のよいシステム。ご遺族とのコミュニケーションを大切にすると、どうしても「手作り葬儀」になってしまう。

 残念なのは、葬儀社だけではなく、ホスピタリティを売り物にするホテル業界も、そう。

 ブライダルで大失敗したパックやセットを、今、法要から社葬まで売り出している。ホテル葬サービスは、スイート、ツイン、シングルのようにお客様が選ぶ「部屋」ではない。その人生をいかに尊重して表現するか、その高度なサービス姿勢こそにホテルの意義があるのでは?
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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