2011-11-21

三丁目の夕日  NO 2758


 このタイトルは過去の「独り言」に何回か書いたが、ノスタルジーとは人生に於ける無形の思い出。いつかは有形の形見となるので「生かされた証し」にしたためておこう。

 小学生から中学生の頃、社会にはまだ終戦後の復興に取り組む雰囲気が感じられていた。東京と大阪を結ぶ東海道本線ビジネス特急「こだま」が登場したのもこの頃で、昭和33年、私が小学生の時だった。

 列車好きの友人に誘われて、大阪駅まで見に行った思い出もあるが、「こだま」は、その後に新幹線が営業運転する昭和39年までの国鉄の花形列車であった。

  東京、大阪間を6時間50分。日帰り可能ということからビジネス特急というキャッチコピーで注目を集めたのだが、同等列車の「つばめ」「はと」の他に、東 京行き急行列車にはそれぞれ異なった名称が付けられ、「なにわ」「六甲」「いこま」「せっつ」「よど」などを記憶しているし、大阪と名古屋を結ぶ準急「比 叡」が走っていたのも憶えている。

 集団就職で九州から来ていた年上の友人もいたが、彼が年末に帰省する際、着席整理券を取得するために大阪駅に臨時に設けられたテント村まで付き合ったこともあり、今では考えられない時代であった。

 当時の近鉄特急の座席指定券も面白く、窓口で購入する際、乗車日それぞれの座席図面ノートがあり、発行した席に斜線を入れ、指定券に席番号を手書きしてくれるものであった。

 コンピューターシステムが活用され、「みどりの窓口」だけではなく、パソコンや携帯電話からチケットが入手出来る便利な時代の到来だが、ここに至るプロセスを知っておくことも無駄ではなく、昔を懐かしみながらしたためている。

  新幹線が走り出したのは「東京オリンピック」の開催年で、私は高校生となっていた。国鉄は、その前から名称を葉書で募集していることが話題になり、クラス の中で多かったのが「ひかり」と「こだま」で、数名がそれで応募したみたいだったが、賞品が届いたという話は一切なかった。

 現在の危惧 する中国の高速鉄道とは全く異なり、安全確認からか、初めは「ひかり」で4時間、「こだま」で5時間を要した東京、大阪間だが、徐々に最高速度をアップさ せ、研究を重ねてどんどん新しい車両を登場させ、現在の約2時間半となっている訳だが、一気に300キロ以上を売り物にした中国当局には、あまりにも恐無 謀ではと、恐ろしい思いを抱いている。

 中国での信じられないことが次々に報道され衝撃を受けているが、正面衝突した幼稚園バスで20名 の幼い子供達が死亡したニュースは悲し過ぎるではないか。9人乗りのバスに64人も乗っていた事実にびっくりし、700名以上も在園する幼稚園に4台しか バスがない事実にも驚き、こんなことが罷り通る不思議に疑問を抱き、犠牲となった子供達が気の毒でならず手を合わせている。

 数日前の新 聞の読者投稿欄に、東京ディズニーランドで不愉快な体験をされたという書き込みがあった。長蛇の列となる人気のアトラクションで、順序を乱す不届き者達が 現われ、スタッフから注意をされても隙を見て再行動、いつの間にか最前列に行っていたという出来事だが、中国語らしい会話が交わされていたのは事実らし く、上海万博の車椅子映像など、彼の国の方々が世界中で撒き散らすマナー欠如がいよいよ酷くなってきているようだ。

 新大阪を西に向かっ て発車した新幹線も、九州内を走り出すと車内アナウンスにも変化が生まれる。日本語と英語だけだったのに、韓国語と中国語が加わって4ヶ国語で放送される からだが、何やら「韓流ドラマ」や「中国ニュース」を伝えるスポークスマンの映像を思い出すようで、車窓の田園風景を見ながら不思議な空間にいる自分に気 付くので面白い。

 そうそう、過日の伊勢行きで利用した「伊勢志摩ライナー」のアナウンス前に流れる音楽が面白かった。それぞれの駅に到 着する際の音楽が異なっていたように思えるのだが、印象に残ったのは伊勢中川駅か松阪駅のどちらかで流れてきた曲で、アレンジされているのですぐに思い付 かなかったのだが、駅を出て車窓の風景を見ながら<そうか!>と気付いたのがベートーベンの「田園」だった。

 結びに、過日に行った鳥羽のことを書いておこう。現在は賢島まで近鉄が延びているが、昔は宇治山田駅が終点だった。現在の鳥羽駅の西側の山には、昔は観光用のエレベーター
が存在し、確か日和山と称されていたように思う。調べてみると、鳥羽駅の火災の時に延焼してしまったそうだ。

  また、海側にすぐ見える御木本真珠島だが、昔は現在のような橋はなく、誰もが船を利用しなければ渡れなかった。そんな島で養殖され、世界的に有名になった 真珠だが、今でも国際的な真珠の取引には「匁(もんめ)」という日本語の重さの単位が使われているのだから凄いではないか。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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