2014-01-13

三丁目の夕日「たこ焼き」  NO 3507


一昨日と昨日の号で触れた気仙沼の「たこ焼き店」のことだが、届いた年賀状にご夫妻が店舗の前で並んだ元気な姿の写真が掲載され、昨秋に訪問したことに対する感謝の言葉も添えられてあり恐縮した。

「1月18日 PM6時から『人生の楽園』に出演します」との添え書きがあったが、私が興味を抱いているのはもう一つ添えられていた言葉であった。

「醤油焼きのタコ焼きやります。テレビで観てください」という一文。それは、気仙沼に行って再会を果たした際に昔の思い出話を伝えたこと。

私のこれまでの人生でもう一度食べたいという「たこ焼き」があり、それは割烹をやっている友人の奥さんと共通する願い。互いが小学生時代に味わった「三丁目の夕日」みたいな郷愁を感じるものである。

それは、本当に美味しかった。今でも瞬時に当時の味の思い出が蘇えって来るほどで、毎日屋台を引っ張って来ていた高齢の女性のオリジナルな「たこ焼き」だった。

その店があったのは、国道25号線から疎開道路を北へ50メートルほどのところにあった「大三パチンコ店」の西側裏玄関の横。独特の香りのするカーバイドが夜間照明の代わりで、豆炭を燃料として使用されていた。

その味付けはオリジナルなもの。一通り粉と具が入れられると、少しだけ醤油を入れられ、やがてひっくり返して完全な円形になったところから細やかで忙しいほどの工程が始まるのである。

醤油に浸した刷毛で「たこ焼き」を回転させながら塗布する手間は見ている方も大変だったが、徐々に醤油の焦げた香りが漂い、それは何とも言えない至福の香りであったと記憶している。

そんな美味しい別格の「たこ焼き」が8個で「10円」だったことも憶えているが、そのおばさんは「一人でも多くの人に食べて欲しいから」と、一人に「20円分」以上は販売されない拘りもあったようだった。

友 人の割烹に立ち寄ると、そんな懐かしい昔話に花を咲かせることになるのだが、彼の奥さんは、その屋台のすぐ近くに住んでおり、何より我々2人が嬉しく思う のは、その味について思い出を共有しているところから語れるからで、互いが「あの味が忘れられない」「何処かで食べられないかな」と結ぶことになってい た。

そんな話を気仙沼でした訳だが、醤油は「薄口」か「濃口」だったかは憶えておらず、もしも試行錯誤されているなら両方を試されていると想像している。

割烹の友人の意見によると、「恐らく薄口だろう。濃口だったら真黒になってしまうから」と料理人らしい推理分析の言葉があった。

果たして番組の中で「醤油味」が登場するのだろうか。土曜日の放送が楽しみである。
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