2007-10-20

秋冷の候へ  NO 2010


 朝から雨の一日、止んだのは午後7時前頃だった。商店街を通っていると理容店の入り口にご主人が立っており、「先日は、どうも」とご挨拶。過日のご近所の葬儀で受付を担当くださった方。そのまま店内へ入って散髪を。

 語呂合わせの好きな日本人、毎日「何か」の日となっている。10月20日は「頭髪」の日だそうだが、昔に耳にした「髪は長~い友達」というCMのフレーズを思い出していた。

 大規模な病院に入院した際、院内に理容室と美容室が存在していたが、いつ見ても満員だったようだった。

 これまで担当させていただいたご葬儀で、ご納棺の前に理容師さんが散髪をされたケースも少なくない。

 ある葬儀のこと、「納棺の時間を1時間遅らせてください」と、ご遺族からのお電話が。事情を伺うと、いつもお世話になっていた散髪屋さんのご夫妻が整髪とシャンプーをしてくださるとのこと。そこでスタッフに手伝うようにと行かせたらびっくりするほど喜ばれた。

 2ヶ月前にご入院、そのままお亡くなりになってご帰宅されたが、ずっと「散髪に行きたい」と仰っておられたそうで、何よりのプレゼントとなったわけである。

 整髪されてお柩の中に。周囲におられたご遺族やご親戚からは「よかったね!」との感謝のお言葉、「誠に勝手ながら、1時間ほど閉店します」との張り紙をされてきたご夫妻、そのお人柄が印象に残った出来事であった。

 一方で、あるお婆ちゃんのことも思い出す。お電話をいただき深夜に参上したら、お孫さん達が揃われて、「お洒落だったお婆ちゃんに」とマニキュアを塗っている温かい光景を見せていただいて嬉しくなった。

 人の死に正月も盆もない。時には孫の受験と葬儀が重なることもあるだろうが、「家族葬」という言葉が猛烈なスピードで出現してきた世の中に、受験ならば1日だけ葬儀の日程を遅らせるぐらいの配慮が大切で、それこそ「家族葬」の本義だろう。

 つい先日のニュースだが、公務員の「ズル休み」の口実に親戚の不幸がいっぱいあったというケースが報じられていたが、その証拠に「会葬礼状」の添付という厳しいところもあるそうだ。

 それで思い出した葬儀があった。お爺ちゃんの葬儀に制服姿で参列していたお孫さんから、「学校へお葬式の証明がいるのですけど、何かありませんか?」と言われ、会葬礼状に一筆書き込んだこともある。 

  あるビジネスマンから聞いた話だが、「祖母が亡くなって2日間休ませてください」と上司に願ったら、「他府県じゃないのだろう。忌引きなんて取るな。仕事 の中で2時間ほど抜け、焼香だけ済ませて来い」と返されたそうだが、そんな企業「戦士」は、間違いなく「戦死」の憂き目に遭うのでは?
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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