2005-06-30

メンテナンス  NO 1196


 6月下旬のスケジュールでは、週初めから出張中で札幌市内のホテルに滞在している筈だった。

 それらをキャンセルしたことによって、多くの方々に大変な迷惑を及ぼすことになり申し訳ない思いでいっぱい。北に向かって手を合わせていました。

 先週土曜日のコンサートを終えてから「北国へ」なんてことを考えていたら甘かった。コンサートどころか前日の金曜日の朝、会社近くの耳鼻咽喉科で診察を受けたら「すぐ、大病院へ」とアドバイスされ、その日の仕事をスタッフに任せて大病院の外来予約。

  書いてくださった紹介状を持参して手続きしたのが午前11時半、そこから大病院特有の待ち時間が症状を悪くさせたこともあろうが、扁桃腺炎の悪化なんてレ ベルではなく、水を飲むことさえ出来ない状況になり、広い待合室で高熱に浮かされ<ちょっと、えらいことになった>と猛省。

 やがて名前が呼ばれたのは午後5時過ぎ、その時は「ここにいます」と手で意思表示するだけが精一杯。すぐに車椅子対応に。

 そして先生の診察、結果はやはり「すぐ入院です」だった。車椅子の世話になり院内を移動して入院手続きコーナーにも行ったが、これは貴重な体験。車椅子が意外と乗り心地が悪いということと、ステップに足を置くだけの行動がどれほどパワーを要するかが理解できた。

 そんな事情で朝、昼、夕方とルーム・サービスを受け、時々、チクッとする痛みさえ我慢すれば最高のホスピターレ?だと入院していた。

 ホテルの語源はラテン語の「ホスピターレ」だが、それはホスピタルという病院にもつながること。治療と心身休息に専念しながら白い壁、白い天井を見つめて時間を過ごした。こんなにゆっくりしたことは何十年振りだろうか。

 規則正しい生活環境、全館禁酒禁煙で携帯電話ももちろん禁止。3度の食事をきっちりなんて、これまでの生活と180度も異なる世界。入院した時からずっと続いていた点滴の針がやっと抜け、信じられないぐらい楽になった。

 最近の病院の設備は進んでいる。ベッドも進化しているし洗面所も手を触れることのない全自動。シャワールーム、バスルームも利用させてもらった。

 入院時はどうなるかと思っていたが、今回の入院で分かったことがある。この兆候、昨年末頃から始まっていたみたい。所謂「慢性化」というケース。勝手な素人判断で「風邪」や「扁桃腺」なんて思いが恐ろしい。ひとつ間違えば「声」を失っていたかもしれない。

 医師が入院要と判断されたのは「食事摂取」が不可能な状態だったから。点滴対応しなければ脱水症状で悪化が進む。そんなところから24時間点滴となっていた。

「体力低下で免疫力がダウンしていたようです」というのが結論みたい。確かに食事抜きで深夜まで仕事をするケースが続いていたし、声帯の酷使も多かったが、それらを如実に物語る血液検査分析の結果も知った。

 多くの看護師さん達が世話をしてくださった。医療ミスが発生しないように薬のチェック体制も厳しかった。昨日から普通の食事が出来る。早朝から採血があり、続いて診察が行われ「今日、退院OKです」との先生のお言葉で戻ってきた。

 最も心配していた喉頭ガンに食道ガンは杞憂となった。声帯部分の炎症がかなりひどかったみたいだが、主治医の先生の診断がお見事に尽きる。3回の採血から特有の不足成分を突き詰められ、そこから始まった治療が画期的な回復効力につながった。

 退院前、総看護師長さんが来室され「よかったですね。入院の際は大変!と思っていましたよ」とニッコリ。

今回の入院は非常に幸運な出来事。1週間の入院、それはまさに心身のメンテナンスで、大きなことを学ぶことにもなった。入院中、会社がかなり忙しい状況にあったようだが、何とかミスなしで乗り切ってくれたみたい。

 社外で入院の事実を知らせたのは数名の方だけ。しかし何やらストーリー展開が広がり多くのメールを頂戴したようだが、中には重病説も流れていたらしい。

 今回の耳鼻咽喉科行きは本当にラッキーだった。お陰で10歳ぐらい若返った感じ。食事療法を心がけ、少し体重を増やすことも考えた。明日から7月、心機一転でギアチェンジ。猛暑の季節を乗り切ろう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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