2011-11-06

お遍路?  NO 2745"


 俄かな病に倒れ、あの世から奇跡的に戻ってきたような私だが、余命は「使命」の文字通り、「命」を使って自身の思いを伝達することだと考えている。

 人生とは「貸し」を多くして「借り」を少なくするべきもの。この「借り」を返済するのも余命の中での「使命」で、これからは思い立ったが吉日と行動し、「借り」を返しに全国へ出掛けようとも計画している。

 北海道から九州まで、多くの人達とのご仏縁に結ばれたが、こんな身体になってしまっては「お返し」そのものが怪しくなる。せめて動ける間に会っておきたいと思うのが最近の願い。

「寝 たきり」になってもおかしくなかった病の症状だったが、奇跡が生まれたとしか思えない不思議に助けられ、フラフラしながらも歩けるし、着替えや食事が出来 る喜びや、銭湯でタオルが絞れることの幸せ感は体験者しか理解出来ないもの。神仏が上述の時間と機会を与えてくださったものと手を合わせている日々であ る。

 そんな話を妻にしたら、「お好きなように」と返されたが、杖代わりに同行してくれるようなのでホッとしている。

 日本の社会には「不義理」も「借り」の部分として捉えられている。故に昔の侠客の世界で「義理かけ」という強い絆の関係も存在したのだろうが、返すには生きている間にしか不可能なこと。

 取り敢えずは、菅前総理のお遍路ではないが、四国路から始めたいと思っている。香川、徳島、高知、愛媛にしまなみの大島などだが、それぞれに一泊すると考えたら大変なこと。だから時間的にも有意義な行程を熟慮しなければならない。

 病以前のように、車で出掛けることは出来なくなった。なるべく嫌いな飛行機を避け、列車中心で制限されるが、北海道だけは飛行機でないと大変だ。

 しかし、青森県八戸市にも行かなければならないので、そこからフェリーを利用する方法もある。また名古屋や敦賀からフェリーで北海道に向かう道もあるが、時間を考えると飛行機には敵わない。

 札幌、苫小牧、室蘭、函館と考えたら、北海道の「でっかいどう」というCMキャッチコピーが頭に浮かび、何度も利用したことのある特急「スーパー北斗」を思い出した。

  初めてその列車に乗ったのは、随分昔の妻と予定していた札幌への旅だった。当日、どうしても私が司会を担当しなければならない葬儀があり、先に妻だけを出 発させたのだが、夕刻便に空席があると考えていた私の考え方が甘かった。ちょうど雪祭りの最中で、千歳へ向かう飛行機は空席待ちでも取れず、仕方なく函館 行きに搭乗し、空港からタクシーで函館駅まで直行。そこから特急「北斗」に飛び乗ったのだが、札幌までは300キロ以上、3時間と少しの長旅になって疲れ てしまい、札幌駅に着いたのが午後10時を回っていた。

 あれから何年の月日が流れたのだろうか。あれから何度「スーパー北斗」を利用したのだろうか。それぞれの懐かしい光景が思い出される。旅とは郷愁の追求であるとも言えよう。

  いきなり北海道へ飛んでしまったので話を四国へ戻すが、何度も訪れたことのある道後温泉にも立ち寄りたいもの。20代で亡くなってしまった友人と、あの夏 目漱石で有名な温泉に入ったこともあるが、この数年で「ふなや」さんだけでも数回宿泊している。回数からすると、そこがお気に入りという妻の方が多いが、 今度は別のホテルの方がとも考えてしまう。旅の企画とは、そんなことを考えている時が楽しいもの。あの世へ出発するまでに、行かなければならないところの 多い方が、何やら長生き出来そうな気がする最近だ。

さて、所用があって上六へ出掛けた。鶴橋まで歩き、そこから近鉄線に乗った。所用を済ませて食事に立ち寄ったのが過去に入ったことのある「今井」だった。そこで少し食べ過ぎたようで、百貨店の地下で買い物をしてから歩行運動を兼ねて歩いて帰宅した。

携帯電話に付いている歩行数を確認すると、家を出てから約1万歩。足がどうにもならないほど疲れるのは当たり前。しかし自信となった数字であった。

  そうそう、百貨店の地下に「御節料理」の予約コーナーがあった。前を通りながら価格が目に留まりびっくり。丸い三段重ねで20数万円というのがあったか ら。それは、あの有名な吉兆のもの。きっと重箱だけでもかなり高価なのだろうと想像したが、こんなの注文する人が?なんて寂しくて貧しい思いを抱いた瞬間 だった。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net