2002-04-28

有 為 転 変

昔、冠婚葬祭互助会が世に登場した頃、「3万円で結婚式が出来ますよ」というフレーズがあった。

その言葉で「披露宴」を勝手にイメージされ、保険と勘違いをされた入会者が多くあった。

リーズナブルなホテルでなら、「結婚式」だけなら十分に可能な金額である。

一方で、株式会社でありながら<**市 冠婚葬祭互助会>との名称で、いかにも地方自治の団体が活動しているように思っていた人も多く、入会者の大半は「保険」「公的機関」との安心感からだったようだ。
 
「ご家族にお祝い事はございませんか?」とのセールストークで、ブライダルを前面に出しての訪問勧誘。これを、もし、「ご不幸の予定者はございませんか?」との行動だったらどうだろう。確実に「塩」を撒かれていただろう。
 
しかし、少子化の時代やブライダルの「様変わり」の影響を受け、互助会運営の中で婚礼部門が足を引っ張る現状になっていることには、「有為転変」の言葉を思い浮かべるところである。 

30数年の時の流れにいくつもの「弱小互助会組織」が崩壊し、イメージダウンを恐れた大手互助会に吸収されることになった。
 
今、そんな互助会の業界が、また、騒がしくなっているようだ。

新聞でも何度も大きく取り上げられているが、表面化されたくなかった暗部、恥部がお客様からの情報からオープン化され、大きな話題を呼んでいる。
 
大手の銀行や保険会社が倒産する時代、ましてや不況の社会状況を迎えては、解約を求められる方が増えるのは当たり前。この解約についてのトラブルが全国で問題になってきている。 
 
葬祭専門業者達も、お客様の囲い込み戦略に走っているところが多くなってきた。

これらの背景には少子化と高齢社会の到来があるだろうが、上述のように「葬儀の予定はございませんか」との営業戦略が出来る訳はなく、個性化、多様化ニーズに対応という「かたち」を借りた、生前予約、生前契約という「美しい言葉表現」で行動されているようだ。
 
日 本の葬儀の原点には「白の基調」という問題があった。白木祭壇、白幕、白木位牌、白い陶器の中陰セットなど、これらは「取り敢えず」を意味し、「当家は不 幸を用意していませんでした」という意義になり、そこに「お困りでしょう」との互助精神からの香典が存在するという考えがあるが、互助会に入会されている ということは「不幸の用意」ということになり、「白」の意味からはおかしくなってくる。

 先祖供養という「儒教観」、それは、「親の葬儀は借金しても」という考えと同様に稀薄してしまってきた感を覚える。「互助会の登場はそのひとつの要因である」とおっしゃられた宗教者さん。そのお言葉の意味がやっと解ってきたこの頃です。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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