2002-11-03

叙勲パーティーの思い出から    NO 245

今日の朝刊に叙勲者の芳名が掲載されていた。大半が高齢の方。ノーベル賞の田中さんのようにはいかないようだ。

 これまで、叙勲祝賀会の記念パーティーの司会を何度担当したことだろうか。この季節が来る度に様々な体験を思い出す。

 葬儀社である私が、祝賀会のプロデュースや司会を担当することは不思議なこと。その大半は、受賞された方から直接のご依頼。多くが何処かのパーティーで私の進行をご体感いただいた方。
単なる「集い」や「会」とさせない私の進行、それは会場の第一部を儀式空間に神変させる「式」に特徴がある。

 これは、ご出席されて体験いただかなければご理解に至らないだろうが、この「式」の部分は、ご用意された祝辞の内容を変更された方も多くあり、特別な会場空間が完成していると自負している。

 ある盛大なパーティーがあった。出席者が1500人。料理の内容もグレードが高く、着席スタイルのフルコース。会場となるホテルの窓口担当者が心配され、1ヶ月前頃から何度も事務所に電話を掛けられてきた。

 その頃の私のスケジュールは過密状態。ホテルには次の内容のFAXを1枚送っただけだった。

『照明関係は前日の夜7時にシナリオを渡します。音響に関しては、司会台にCD、カセットデッキを準備し、手元ですべての音量調整が出来るようにお願いします』

「何方がミキサーを担当されるのですか?」
 そんな電話も掛かってきたが、すべて私自身が担当しますと返すと、「そんなことが可能ですか?」と失礼な言葉が返ってきた。

「本番前日の夕方まで時間は空きません。午後7時に照明担当者とホテル側関係者と打ち合わせに参上します」

 無責任な対応だと思われるかも知れないが、進行シナリオを前日に見れば一目瞭然に把握可能なように創作してあり、打ち合わせも20分もあれば終わってしまう筈。

 1週間前になると、主催者側の責任者である秘書室長から電話があった。「ホテル側が大丈夫ですか?と言ってきている。なんとかならないでしょうか?」と言われるが、申し訳ないが、どうにもならないスケジュールに追われていたのである。

 そこで失礼だが殺し文句を言ってしまった。「ご本人はどのようにおっしゃっておられるのですか? 私をキャンセルいただいても構いませんが」

「滅相もない。絶対にあなたでないと納得しません。そんなことをすれば私の責任問題です」

「では、あなたの責任でホテル側を納得させてください。前日の午後7時から20分で打ち合わせを済ませると」

 さて、前日の午後7時がやってきた。指定された部屋に入ると、ホテルスタッフ全員が緊張の面持ちで怒りの表情も当然のこと。

 まず失礼を詫びた私は、持参したシナリオを全員に配った。そして、「5分間で目を通してください」と言った。

 5分後、スタッフの表情が一変した。それから10分ですべての打ち合わせが終わった。

 当日の本番は、予想以上にうまく流れることになった。私が帰ろうとした時、スタッフの皆さんが「いい勉強をさせていただきました」という言葉で送ってくれた。
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