2002-09-07
秘められた大事件 NO 188
当事者であるお客様には申し訳ないが、有名な一流ホテルで信じられない問題が発生した。
ある日、お客様がホテルのバンケット担当者を呼ばれ、「お別れ会」を依頼されたが、このお客様は全面的にホテルを信頼され、手回し良く遺影の元になる写真のご用意までされて来ていた。
出席人数の把握、料理の内容、祭壇の予算、簡単な式次第の提案が行われ、それから数日後には通知状の印刷が出来上がり、そのすべてが郵送されることになった。
そんな頃、この会の実行委員長のスケジュール調整が可能となり、施主側代表者を伴われ、会場の確認を兼ねてお食事にホテルを訪れられた。
担当責任者が会場を案内し、全体的な流について説明を始め、当日の料理内容の詳しい説明をされようとした時だった。
「もうよろしい。料理の内容を伺っても何の意味もない。ホテルは料金によって料理内容が変わるぐらいは誰でも知っている。そんな説明を受けにやって来たのではないのです。全体としてどんな『会』になるのか、それを知りたいのです」
「はい、『会』とおっしゃいますと式次第のことでしょうか?」
「式次第も『会』の一部でしょう。私が言うのは全体的なことなのです。ホテル側がどのようなことを考えてくれているのかを知りたいのです」
「・・・・・?」
「このホテルは、何度もお別れ会をやっているそうではないか。君達ホテルの担当者が、この遺族の方々に何を与えてくれるのかということ。故人に何をプレゼントしてくれるのかと訊いているのだよ」
「・・・・・?」
「君は料理の説明をしようとした。出席者は食べるだけ。故人の嫌いな物は省いて欲しいとは言わんが、好きだった物ぐらいを把握し、料理長がその一品をこのように表現しましたというのがホテルサービスではないか? 君は故人のことをどれだけ把握されているのかな?」
「・・・・・?」
「まあ、いい。では式次第に入ろう。司会者の開会の言葉で始まり、次に弔辞か? 皆さんの献花はどのようになっている?」
「ご入場の際に入り口でお渡しし、ご祭壇にお供えいただき、着席されて開会ということですが」
「こ のホテルは、未だにそんな失礼なことをやっているのか。お客様にも失礼だし故人に申し訳が立たないほど無礼な形式ではないか。食事を目的に開催されるよう に考えるホテルの姿勢が理解出来ない。私が委員長である以上、そんな失礼この上ないやりかたは許さん。恥を掻くの私だけで済むが、悲しみの家族をそれ以上 に悲しませることだけは絶対に許さん。白紙に戻して一からやり直しなさい」
さあ、大変な事件の発生である。本番まで1週間を切っている状況を迎えての大問題。この顛末は明日に続きます。